artscapeレビュー
#16 VIVIDOR - 人生を謳歌する人
2020年12月01日号
会期:2020/10/24~2020/11/15
アズマテイプロジェクト[神奈川県]
イセザキモールの片隅に建つ古びたビルの2階奥の1室で開かれた映像展。計2時間10分の長丁場だが、29組が1組5分以内にまとめた短編をつなげたオムニバスなので見に行った。最初の作品は、白人と黒人が向かい合い、中央に置かれた袋から白い粉(小麦粉?)をつかんでお互いに掛け合うという映像だが、粉が掛かる音は銃声だ。白人はより白く、黒人はすごく白くなり、最後は2人が正面を向いて終わり。Eross Istvanの《Dialogue》で、これを見て最後まで見る気になった。でもこうした比喩的な表現は少なかった。
自分と同じサイズの蛍光灯、マット、鉄の箱を床に並べて本人もその横に寝そべる倉重光則の《1974年の七つのパフォーマンス》は、4半世紀後のリメイクらしいが、いかにも70年代的なポストもの派の発想だ。自身の不幸な生い立ちを文章だけで読ませる辻郷晃司の《私とボクのカルテ》は、見ていてツラくなる。髪の薄い中年男性客の後頭部を画面に入れながら、回転寿司を撮り続けるダニエル・ゲティンの《Food Train》は秀逸だ。生茂るマロニエの木立をクローズアップして、葉陰からのぞく向こう側を歩く人を捉えたSoft-Concreteの《marronnier》は、音楽ともども癒された。
2020/11/15(日)(村田真)