2021年10月15日号
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artscapeレビュー

川口和之「PROSPECTS Vol.5」

2021年03月01日号

会期:2021/02/05~2021/02/21

photographers’ gallery[東京都]

川口和之はこのところ、photographers’ galleryで「PROSPECTS」と題する連続展を開催している。当初は日本全国を対象としていたが、次第に埼玉県、栃木県、群馬県など北関東の街々に絞って撮影していったストリート・スナップ写真のシリーズだが、その第5回目にあたる今回、初めてテーマらしきものが見えてきた。といっても、始まりは偶然のきっかけだったようで、埼玉県桶川市を撮影中に土砂降りのにわか雨に遭い、そこから「雨の日」の光景にカメラを向けるようになった。今回の展示作品のほとんどは、雨中に撮影されている。結果的にその試みはとてもうまくいっており、半ば忘れられたような街並みが、湿り気を帯び、水に濡れることで鈍色の輝きを発して、どこか既視感を伴う光景に変質しているように感じた。

そのリアル感は、川口の丁寧なプリント・ワークに拠るところが大きい。使っているのは4200万画素のミラーレス一眼レフカメラなのだが、データを処理する時に画像の色味や彩度に細かく気を配っている。あえてシャープネスや透明度を落とすことで、風景の質感をリアルに定着させているのだ。デジタル・プリントも、パソコンやプリンター任せではなく、自分でコントロールすることが可能になってきている。写真の方向性によりフィットしたプリント・ワークが求められているわけで、川口の「PROSPECTS」シリーズはそのよき指針になるのではないかと思う。

なお隣接するKULA PHOTO GALLERYでは、同時期に川口の「PROSPECTS/TOKYO」展が開催された。2020年5月の非常事態宣言下のゴールデン・ウィークに、人気のない東京を撮影した印象深いシリーズである。

2021/02/16(火)(飯沢耕太郎)

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