2021年09月15日号
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artscapeレビュー

Tokyo Rumando 映像作品展「S TRIP」

2021年08月01日号

会期:2021/07/01~2021/07/31

ZEN FOTO GALLERY

Tokyo RumandoはこれまでZEN FOTO GALLERYから写真集として刊行した『REST 3000〜STAY 5000〜』(2012)、『Orphée』(2014)、『S』(2018)などを通じて、自らのパフォーマンスを写真化するシリーズを発表し続けてきた。そのうち「何故私はパフォーマンスをするのか」と自問するようになり、ひとつの答えとして、20代の頃に、ファッションを学びながら、日本各地のストリップ劇場やキャバレーをショーダンサーとして巡っていたという体験に行きついた。その時期には「鑑賞者の為に自身でパフォーマンスをすると言う行為は私の中で日常化し、とても自然な行為」だったのだ。そこから、最終的に写真作品として発表するのではなく、パフォーマンスそのものをビデオで記録し、それを再編集して上演するという展示のやり方を思いつく。

今回の個展では、2020年にドイツ・フォルクヴァンク美術館で開催した個展「The Story of S」に出品した映像作品をアップデートするとともに、「S IS A STORY」「S IS SECRET」「S IS SEXUAL VIOLET」といったタイポグラフィーも壁面に展示していた。

アパートの一室で、さまざまな設定の人物を演じたり、外に出て「大量の衣装をスーツケースに詰め込んで、ハイヒールをカツカツ鳴らし、日本各地の劇場を転々と移動した日々」を再現したりするパフォーマンスの記録は、見世物小屋を思わせる、いかがわしくも活気あふれるものとなっていた。これまでもそうだったが、Tokyo Rumandoの表現意欲を支えているのは、性的な欲望を陰湿で差別的な行為に貶めることなく、開放的に共有していこうとする希求なのではないだろうか。

今回の映像作品では、『REST 3000〜 STAY5000〜』や『Orphée』ほど、くっきりとしたメッセージは見えてこないが、逆にカオス的なエネルギーの場がより野放図に拡大しつつあるように感じた。ただ、映像作品は写真に比べて観客の集中力をキープするのがむずかしくなる。そのあたりをどんなふうに解決していくかが、今後の課題になりそうだ。

2021/07/14(水)(飯沢耕太郎)

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