2022年01月15日号
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artscapeレビュー

遥かなる都市展

2021年12月15日号

会期:2021/11/17~2021/12/05

BankART Station[神奈川県]

アーティストによる都市への介入や、建築家集団による都市のアート化の試みを記録した映像作品が公開された。アーキズームやスーパースタジオといった伝説的な建築家集団など、映像は全部で13本。うち60-70年代が7本と過半数を占め、90年代が1本で、2001年以降が5本と年代が偏っている。80-90年代が少ないのは、ポストモダニズムにかまけて建築もアートも前衛が後退し、保守化したせいだろうか。全部見たわけじゃないけど、チラッと見ておもしろかったのが、チャールズ・シモンズの《小さな家、冬》と、ジョルディ・コロメールの《アナーキテクトン、バルセロナ》の2本。

チャールズ・シモンズは、崩れかけた建物の一画に極小の手製レンガを積み上げて廃墟のような構築物をつくるアーティスト。映像は1974年のもので、ニューヨークやベルリンでの活動が記録されている。彼の作品は写真か、完成品しか見たことがなかったが、それがビルの廃墟に勝手に積み上げていくストリートアートだったと初めて知った。当時、路上で破壊活動をしたりデモンストレーションしたりするアーティストはいても、このように路上で勝手に作品をつくるアーティストはまだほとんどいなかった時代だから、彼こそ「ストリートアート」の先駆者といってもいいかもしれない。現在でも知ってか知らずか、ビルの隙間にミニチュアの廃墟みたいなものを組み立てるストリートアーティストがいるが、そういう若いアーティストにもぜひ見てほしいドキュメントだ。

ジョルディ・コロメールはバルセロナをはじめ、大阪、ブカレスト、ブラジリアなど世界各都市で「アナーキテクトン」なるプロジェクトを展開してきたアーティスト。アナーキテクトンとはアナーキーとアーキテクトン(ギリシャ語で「都市建築家」)の合成語だという。映像は2002年にバルセロナで撮られたもので、ビルの模型を棒の先に取り付けて実際のビルの前でデモンストレーションするというもの。コマ落としの映像なので、本物のビルと模型がほぼ同じ大きさで近づいたり、重なったりするシーンは思わず笑ってしまう。さっき見た松江泰治の「マキエタCC」を思い出す。

2021/11/26(金)(村田真)

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