artscapeレビュー
「日本画」の前衛
2011年02月15日号
会期:2011/01/08~2011/02/13
東京国立近代美術館[東京都]
第2次大戦をはさんだ1938~49年の実験的な日本画を集めたもの。大ざっぱな印象としては、比較するのも大人げない、同時代の「前衛絵画」であるアメリカ抽象表現主義と比べれば、ただ表面に描くイメージが抽象またはシュルレアリスムに傾いて新奇に更新されたというだけで、絵画(日本画)のシステムや構造自体を揺るがし、再編するほどの根本的変革ではなかったということだ。あるいは十歩譲って、日本画にとっては根本的な変革だったとしても、美術全体から見ればローカルな台風にすぎなかったと。たしかに余白を多くとって色彩構成した山岡良文の《シュパンヌンク》や、画面に深紅の絵具を散らした船田玉樹の《花の夕》、画面中心部がねじれてこんがらがったような岩橋英遠の《都無ぢ》などは、「日本画」としては画期的だったかもしれないが、比較のために並べられた村井正誠や靉光らの「洋画」より新しいとはいえない。ましてやカンディンスキーやポロックと比べたら一目瞭然……。
2011/01/07(金)(村田真)