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五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

せんだいスクール・オブ・デザイン 2013年度秋学期 PBLスタジオ1メディア軸♯4 小川直人「映画のなか/そとの仙台」

東北大学大学院工学研究科 せんだいスクール・オブ・デザイン[宮城県]

せんだいスクール・オブ・デザインのメディア軸で、せんだいメディアテークの小川直人のレクチャー「映画のなか/そとの仙台」を行なう。かつてのプログラムピクチャーは城趾、七夕、松島などの観光名所を好んだが、『ゴールデンスランバー』など伊坂幸太郎原作の映画はそれがなく、どこにもありうる地方都市をリアルに描く。とある事情で公開されなかった、仙台舞台の私小説の映画化『ア・ルース・ボーイ』(1997)を見たいと思う。

2014/01/07(火)(五十嵐太郎)

黒川創『いつか、この世界で起こっていたこと』

発行所:新潮社

発行日:2012/05/31

黒川創の小説『いつか、この世界で起こっていたこと』を読む。3.11に触れた震災文学のなかでも、相当変わった切り口だった。アメリカのエルビス・プレスリーからロシアのチェーホフまで、あるいはユーゴ、関東大震災のときの鎌倉の津波など、時間と空間を超え、ときには地球の外側から見るような視点さえ導入しつつ、短編をつむぐ。震災を日本の出来事として閉じるのではなく、世界史の断片的な記憶と共振する3.11と言えるだろう。

2014/01/05(日)(五十嵐太郎)

天機:富春山居圖(監督:スン・ジェンジュン)

帰りの機内、映画『天機:富春山居圖』を見る。有名な水墨画を盗むスパイ、アクションもので、アンディ・ラウやリン・チーリンらが出演する豪華作だった。ただし、つくりはやや荒削りである。劇中に登場する日本人たちは、ヤクザ、コスプレ、相撲、兵隊というステレオタイプのイメージだ。こうした映画は日本未公開なので、日本ではなかなか認識されにくいが、中国文化圏における日本兵の悪い印象はやはり視覚言語として共有されている。

2014/01/04(土)(五十嵐太郎)

ポンピドゥー・センター

[フランス・パリ]

ポンピドゥー・センターへ。あまり知られていないが、コンペのなかで広場の面積を最も大きくとったのが、実現したピアノ+ロジャース案だった。開催中のシュルレアリスム展では、基本的な歴史展示に加え、現代のアーティストであるポール・マッカーシーやシンディ・シャーマンの作品を混ぜる。またコレクション展示における戦後日本建築の部屋には、丹下健三やメタボリズムの作品と一緒に、具体美術の白髪一雄が入っていた。

2014/01/03(金)(五十嵐太郎)

レ・アル再開発

[フランス・パリ]

レ・アルの再開発も進んでいた。市民にその内容を知らせるインフォメーション・センターも設置されている。新しい施設は、古い商品取引所とポンピドゥー・センターの軸を意識したデザインだ。拙著『美しい都市・醜い都市』でも触れたが、景観論者が大好きなパリは、オースマンのときに整備した19世紀の統一された街並みの部分だけに集中しているが、むしろ過去から未来をつなぐ都市像こそが本当にすごいと思う。

2014/01/03(金)(五十嵐太郎)