artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
KANSAI 6 EXHIBITION IN OSAKA |ONOMATOPOEIA| つながる建築・ひらかれる言葉
会期:2011/11/26~2012/02/14
中之島デザインミュージアム「de sign de >」[大阪府]
オノマトペをテーマとし、遠藤秀平は「ぐるぐる」、宮本佳明は「ぐいぐい」、李暎一は「まぜまぜ」、長坂大は「じわじわ」、竹山聖は「ジグザグ」、米田明は「ぐんぐん」と、6名の関西建築家それぞれのデザインの特性と態度を言葉で表現している。ただし、こうしたキーワードはひらがなやカタカナではなく、基本的にアルファベットによるローマ字表記だったので、かえってわかりにくなっていたかもしれない。2階の展示スペースは川が見え、気持ちがよい空間だ。1階ギャラリーでは、同メンバーによる建売住宅企画展も開催している。どれもとにかく模型がデカいことが印象的だった。
2011/12/23(金)(五十嵐太郎)
studio velocity《空の見える下階と街のような上階》
愛知県岡崎市高隆町[愛知県]
完成直前のオープンハウスで、愛知の期待の若手建築家の住宅を見学する。2階建てであり、外階段から上階のリビングにアクセスすると、小さな塔が林立し、それぞれが階段を内包しており、降りると、下階の個室に入っていく。まさにタイトル通りのことが実現されている家。しかも、完全なる円形プラン。考えてみると、こうしたベタな正円の建築は意外にもあまりなかったが、自然に成立させている。設計者は石上チルドレンの新感覚派であり、またそれをちゃんと受けとめる施主がいることにも感心した。石上純也がまだ住宅を竣工させていないあいだに、彼らは住宅や美容院を次々と完成させている。
2011/12/17(土)(五十嵐太郎)
妹島和世《SHIBAURA HOUSE》
[東京都]
妹島和世の透明建築である。ガラス張りで、まる見えの空間。さらに1階は地域に開放し、プログラムも開く。妹島の新しい感覚が実験的な公共施設だけではなく、都心のビルなど、現実の社会でも登場している。これが増えていけば、世界は変わるかもしれない。
2011/12/16(金)(五十嵐太郎)
ウィーン工房1903-1932─モダニズムの装飾的精神
会期:2011/10/08~2011/12/20
パナソニック電工 汐留ミュージアム[東京都]
近代とはいえ、ホフマンらが志向したものは、必ずしも純粋に抽象的な建築の空間ではないことがわかる。サブタイトルに「モダニズムの装飾的精神」と掲げているように、さまざまにデザインされた具体的な家具、照明、食器、文具、装飾、衣服に囲まれた艶のある場だった。その直後は前近代の名残とされたのかもしれない。だが、今から見ると、この時代だからこそ手がけることができた装飾は、かけがえのないものとして輝いている。
2011/12/16(金)(五十嵐太郎)
中銀カプセルタワービル 住宅カプセル
会期:2011/09/17~2012/01/15
六本木ヒルズの敷地内[東京都]
森美術館の「メタボリズムの未来都市」展にあわせて、黒川紀章による中銀カプセルタワーのユニットが六本木ヒルズの屋外に設置された。しかし、若手建築家との「メタボリズムのDNA」シンポジウムの打ち上げで、会期が終わった後に行く先がないと聞き、同じく黒川が設計した埼玉県立近代美術館につないだところ、無事に受入れが決まった。アスベストの問題もあり、中銀カプセルタワーが残るかどうかわからない状態であるが、思いがけず、現代建築の部分保存に貢献することができた。
2011/12/15(木)(五十嵐太郎)