artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

「世界劇場会議国際フォーラム2012 日本に公共劇場はあるか?」Session-4:公共劇場のゆくえ

会期:2012/02/10~2012/02/11

愛知芸術文化センター12F アートスペースA[愛知県]

世界劇場会議は、建築系の劇場関係者が一同に集まるイベントである。劇場建築を専門とする計画学の坂口大洋がコーディネートを担当し、筆者、そしてえずこホールの水戸雅彦、10-BOXの鈴木拓らが、震災後の仙台と公共ホールについて、それぞれの報告と討議を行なう。東日本大震災では、建物の倒壊は免れたが、各地のホールで天井が落ちて使えなくなるなど、関係者に大きな衝撃を与えたようだ。また被災地では、多くの公演がとり止めとなり、「文化被災」というべき状況がもたらされた。

2012/02/11(土)(五十嵐太郎)

「平成23年度七ヶ浜中学校建設基本・実施設計業務委託プロポーザル」2次審査会

会期:2012/02/05

七ヶ浜中学校[宮城県]

一次審査を通過した5人の建築家を招き、コンペの二次審査が行なわれた。それぞれのプレゼンテーションと質疑応答の後、審査では、教室群を集落のように散りばめ、振り切ったデザインの八重樫直人が議論の目玉になった。運営のプログラムとも関わることから、地元の教職員が受け入れ可能かを探るが、難しいことが判明。最終的にはもっとも美しく、かつ柔軟でアクティブなシステムをもつ乾久美子の案に決定した。リトルスペースと呼ぶ小空間がさまざまな場をつくるデザインである。次点となった遠藤克彦は、七ヶ浜のここにしかない風景を意識した提案だった。

写真:上=八重樫直人案、中=乾久美子案、下=遠藤克彦案

2012/02/05(日)(五十嵐太郎)

イ・ブル展:私からあなたへ、私たちだけに

会期:2012/02/04~2012/05/27

森美術館[東京都]

イ・ブルの展覧会を訪れ、講演も聴く。初期のいかにも女性アーティストに多い身体パフォーマンス系からサイボーグ・シリーズ、そして近年のユートピア建築的なものまで、これまでの軌跡をたどる。台座をなくし、吊る彫刻になったからこそ、重量や対称性から逃れ、造形の自由度を獲得したが、その造形が片手や片脚、あるいは頭部をなくし、不完全な身体を表象するという逆説が興味深い。それにしても、ブルーノ・タウトを中心とする表現主義、ロシア構成主義、ディコンストラクティビズムなど、建築を参照する作品が本当に多いことを確認することができた。

2012/02/04(土)(五十嵐太郎)

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テラスモール湘南

テラスモール湘南[神奈川県]

昨年末にオープンしたテラスモール湘南を見学した。この手の施設としては閉鎖的になっておらず、連続する屋外テラスを特徴としつつ、隣接する低層棟のヴィレッジや病院建設まで一体化した新しい街再開発に驚かされる。ただし、モール空間のスペクタクルとしては、同じく駅前のラゾーナ川崎やイオンモール名取の方がインパクトがある。それにしてもクルマでしかアクセスできない郊外というイメージは完全に払拭された。駅の正面に立地し、公共交通機関でも簡単に訪れることができる。ラゾーナ川崎と同様、工場跡地を開発したものだが、これで完全に駅の表裏が反転するだろう。

写真:上・中=《テラスモール湘南》 下=《湘南ヴィレッジ》

2012/02/03(金)(五十嵐太郎)

現代美術展 in とよはし

会期:2012/01/17~2012/02/19

豊橋駅南口駅前広場、名豊ギャラリー、名豊ビル5階イベントホール、ギャラリー48、豊橋市公会堂前広場、豊橋公園、豊橋市美術博物館、愛知大学大学記念館、豊橋丸栄9階イベントスペース、こども未来館[愛知県]

続いて豊橋に移動し、「現代美術展 in とよはし」を見る。駅前や百貨店から公園、美術館、大学まで、街なかの各地にアートを展開していた。正直、微妙な作品も混ざっており、ばらつきがないわけではない。もっとも、公園の石を一列に並べ変えた味岡新太郎、図鑑の絵を切り抜く渡辺英司、音の出る木の彫刻でワンフロアをうめつくした石川理、不思議な学習日記×アメコミヒーローの杉山健司&浅田泰子など、バリーションに富む作品は、豊橋の街歩きとともに楽しめた。

写真=味岡新太郎(中)、渡辺英司(下)

2012/01/30(月)(五十嵐太郎)