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五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

松井冬子 展 世界中の子と友達になれる

会期:2011/12/17~2012/03/18

横浜美術館[神奈川県]

評判はよいようだが、表現やテーマの新しさ、現代性はあまり感じられなかった(むろん、本人のスター性はわかるが)。死と言われても、表現がベタ過ぎるというか。メメント・モリは古来のテーマだし、解剖学の職人的な描写はフィレンツェのラ・スペコラの方がすごいし、エロ・グロな感じは昔の日本で流行っていた。ただし、展示空間の構成やキュレーションは楽しめた。彼女の芸大修了作を中心に据え、その制作過程を示し、まるで巨匠の回顧展のようだ。

2012/01/14(土)(五十嵐太郎)

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ジャン・ヌーヴェル《電通本社ビル》/ジョン・ジャーディ《汐留アネックスビル「カレッタ汐留」》

[東京都]

竣工:2002年11月

久しぶりに汐留の電通ビルを見学した。ヨーロッパのよき趣味の前衛、ジャン・ヌーヴェル設計のオフィスビルと、アメリカの大衆的な資本主義建築家、ジョン・ジャーディによる商業施設カレッタ汐留を組み合わせるところが、実は日本的かもしれない。あちこちにパブリックアートを設置しているが、3.11の原発事故以降の節電もあってか、ジュリアン・オピーや蔡国強など、電気仕掛けの作品は、ことごとく止まっていた。やはり、こうした作品は、長期の稼働維持が大変である。結局、モノだけで成立するアートの方が超長期的には持続するように思う。

写真=噴水が止まった「カレッタ汐留」

2012/01/08(日)(五十嵐太郎)

3331 アンデパンダン・スカラシップ展 vol.2

会期:2012/01/07~2012/01/29

アーツ千代田3331 1Fメインギャラリー[東京都]

オープニングへ。五十嵐による個人賞を出した『へルター・スケルター』改変の山田はるかは、男装の写真など、得意の身体/ジェンダー系の新作を、短い準備期間にもかかわらず制作していた(展覧会が繰り上げで早くなった)。いろいろな表現形式をとっている。これに『ヘルター・スケルター』で見せたメディアそのものをハッキングするような強度があれば、言うことなしだ。もうひとつの個人賞の候補だった水戸部七絵の絵画は、映画や映像をもとにしたものだが、なかなかの迫力だった。

写真=山田はるか(上)、水戸部七絵(下)

2012/01/07(土)(五十嵐太郎)

菊竹清訓の訃報

その日は昼前くらいから、新聞各社からの電話が立て続けに入った。そういうときは、決まって巨匠が亡くなったときである。内密にとは言われたものの、新聞社がネットでニュースを配信するより先に、すでにtwitter上で情報が流れていた。以前とは、ここの状況が全然異なっている。とすれば、紙媒体における訃報記事は、速報性ではかなわないのだから、よりまとまった論が重要になるだろう。今回は2社に寄稿したが、ポイントはメタボリズム運動を通じて1960年代の日本前衛デザインを牽引したこと、そして伊東豊雄ら、多くの建築家を事務所から輩出したことである。

2012/01/05(木)(五十嵐太郎)

シャルロット・ペリアンと日本

会期:2011/10/22~2012/01/09

神奈川県立近代美術館 鎌倉[神奈川県]

内容はすでに知っていることが多かったが、サカ(=坂倉準三)と仲がよかったペリアンの展覧会をここ(=彼の設計した神奈川県立近代美術館)で開催できたのはよかった。改めて、家具とインテリアという彼女の立場は、男性中心主義的になりがちな建築界においてとてもうまく機能していたことがわかる。もっとも、日本との関係に焦点をあてたフレームの展覧会なので、『シャルロット・ペリアン自伝』(みすず書房)に描かれたような、彼女の20世紀の世界史と重なるダイナミックな生涯はちょっとわかりにくい。

2012/01/04(水)(五十嵐太郎)

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