artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

シンポジウム「アートの再生・アートの新生『3.11以降の世界とアート』」

会期:2011/07/31

3331 Arts Chiyoda[東京都]

3331アーツ千代田の「Emerging#1」展シンポジウム「アートの再生・アートの新生」に出席した。メンバーは、浅田彰×五十嵐太郎×石山修武×椿昇×千葉雅也、そして司会は後藤繁雄である。まだあまり発表されていない、石山さんの311以降の気仙沼と唐桑のプロジェクトを初めてきく。やはり、メモリアル系の提案がある。討議では、今の時代においてモニュメントをつくることは避けるべきという意見が強く、ここではAAPAのパブリックアート志向とはだいぶ違うスタンスが認められた。・終了後、浅田さんに誘われ、千葉さんとともに、中国帰りの磯崎さんの家を訪れた。先日、80歳を迎えた磯崎さんを祝いつつ、311以降の展開を踏まえた海外の劇場計画や、黒川紀章から引き継いだ中国での仕事など、近況をうかがう。福島への転都プロジェクトの背後にある首都の神話的構造線についても熱く語ってくれた。

2011/07/31(日)(五十嵐太郎)

被災地につくる「みんなの家」アイディアスケッチ展

会期:2011/07/29~2011/08/18

せんだいメディアテーク 1階[宮城県]

せんだいメディアテークと伊東豊雄ミュージアムで同時開催の「被災地につくる『みんなの家』アイディアスケッチ」展にて、フランク・O・ゲーリー、ザハ・ハディド、アトリエ・ワン、千葉学、妹島和世、西澤立衛、小学生、建築学生らに混じって、五十嵐研の南相馬市プロジェクトが展示された。意図的に子どもの絵の発表会のような方法で、それぞれのスケッチを並べていた。巨匠も子どももフラットに扱うやり方が、まさに「みんな」というテーマをよく示す。

2011/07/30(土)(五十嵐太郎)

AAPA東日本大震災復興支援・アートミーティング「第1回仙台セッション」

会期:2011/07/29

Ai_gallery[宮城県]

AAPA東日本大震災アートミーティング第一回仙台セッション「今、アートに何ができるか」が開催された。基調報告として、南條史生さんは311以降の森美術館のさまざまな対応、宮城教育大の村上タカシさんは3.11メモリアルプロジェクトなどのアート活動を紹介する。第一部「現場からの報告・提案」では、リアス・アーク美術館の山内宏泰さんが五感に訴えるアートの伝達力を強調した。続いて、えずこホールの水戸雅彦さんは4月12日にあえて公演を決行したこと、今こそアートが求められることを語る。そしてアーティストの遠藤一郎さんは「未来へ」号のクルマで東北各地をまわり、被災商店の看板ペイントや表札アートなどを行なう試み、森ビルの藤原純さんは県をまたぐ長大な津波浸水ラインに沿って、未来に記憶を残すパブリックアートを置いていくプロジェクトを提案する。第二部のパネルディスカッションでは、五十嵐が研究室の活動を紹介しつつ、建築界の状況をレビューしてから、全体でアートの役割について討議した。

2011/07/29(金)(五十嵐太郎)

JR東日本「大阪ステーションシティ」

大阪駅ほか[大阪府]

大阪駅のステーションシティでは、伊勢丹とルクアによるノースゲートとプラットフォームをおおう大屋根がダイナミックな空間を形成している。ニッポン的なエキナカの巨大化・複雑化の最前線と、ヨーロッパ的な古き駅の空間が融合しつつ、未来的な場所が出現した。伊勢丹のインテリアもがんばっている。

2011/07/23(土)(五十嵐太郎)

堂島リバービエンナーレ2011「Ecosophiaーアートと建築」

会期:2011/07/23~2011/08/21

堂島リバーフォーラム[大阪府]

堂島リバービエンナーレ2011も初日に訪れた。杉本博司+永山祐子、森万里子+隈研吾の共同作品など、建築とアートをテーマに掲げ、両者を絡めようとする挑戦は評価したい。が、磯崎新の孵化過程を唐突においても、知っている人は知っているが、文脈を共有しない人にはよくわからないと思う。建築を展示することの難しさも考えさせられる。大量に展示された、空間的な造形に展開するアニッシュ・カプーアの模型群は興味深い。

2011/07/23(土)(五十嵐太郎)