artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

TNA《キリの家》

会期:2011/06/25

[東京都]

TNAの作品としては最小のフットプリントだが、内部に入ると、立体的に空間が連続し、外の風景も、全面ガラスのファサードにペイントされたキリの濃淡によって、選択的に取り入れ、それを全然感じさせない。最初に入ったときは、平らな床がほとんどない、小さな駐車場のようにも思えた(間仕切りもない)。それが身体と応答し、ふるまいを生み、空間に彩りを与える。中心線には強い大黒壁があり、安心感をもたらす。

2011/06/25(土)(五十嵐太郎)

東日本大震災復興支援「Arts Action 3331」展

会期:2011/06/15~2011/06/27

3331アーツ千代田[東京都]

京都のradが企画した建築展「SPACE OURSELVES」が巡回していた。中村竜治や近藤哲雄など、若手によるポスト震災の好企画である。かといって、ベタな復興計画ではない。失われたささやかな日常の風景の記憶を共有し、次のまちづくりにつなげる試みを提案した白須寛規のプロジェクトが印象深い。ただ、同じ会場において、アートと並ぶと、カッコ良くても、内容の伝わらなさが気になった。展示の方法は今後の課題だろう。

2011/06/24(金)(五十嵐太郎)

「ジパング」展

会期:2011/06/02~2011/06/09

日本橋タカシマヤ[東京都]

いかにもミヅマさんらしいキュレーションで、会田誠、山口晃、天明屋尚など、ジャポネスクの現代アートが大集合していた。多くの作家は知っているので新しい発見は少なかったが、展示された場所は興味深い。こういう表現がとうとう百貨店に進出したとも言えるのだが、そもそも百貨店向きのアートであり、これが本来の正しい場所かもしれない。「ジパング」というテーマと関係なく、池田学による精緻な建築的ドローイングや、指江昌克の球体建築は、やはり目を悦ばせてくれる。

2011/06/21(火)(五十嵐太郎)

JCDデザインアワード2011

会期:2011/06/18

東京デザインセンター[東京都]

近年は建築系の健闘で知られるインテリアデザインのアワードにて、飯島直樹、小坂竜、近藤康夫、皆川明、中村拓志、韓亜由美らとともに、公開の最終審査に参加した。全体の傾向としては、その場でしか経験できない現象をもたらす空間のデザインが上位に残っている。大賞に選ばれた吉村靖孝による補色の効果を演出したインテリア、あるいは推したものの2位にとどまった増田信吾・大坪克亘の風で揺れる塔なども、そうした作品だった。

2011/06/18(土)(五十嵐太郎)

UIA2011東京大会へ 連続公開シンポジウム No.14

会期:2011/06/16

文化シャッター本社・BXホール[東京都]

秋に開催されるUIAの東京大会を盛り上げるための連続シンポジウム。直前となる今回のテーマは、「災害を乗り越え、一丸となって、新しい未来へ!」である。佐藤滋さんは震災後の日本建築学会の動向について、松本純一郎さんはJIA東北支部のとりくみを報告し、五十嵐は東北大、アーキエイドとSSD、そして研究室の活動について発表した。

2011/06/16(木)(五十嵐太郎)