artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
SAHANZ建築史大会
会期:2011/07/07
[オーストラリア・ブリスベン]
ブリスベンのSAHANZの大会にて、キーノート・レクチャーを行なう。テーマは、日本における歴史家と批評家と建築家の関係について。戦前の日本の言説では、中国的なものを排除することで純粋日本建築が得られると執拗に語っていたが、オーストラリアとニュージーランドも、イギリスとの関係でアイデンティティの問題が出るという。すなわち、親であるイギリスからの文化的な自立をどう考えるかである。
2011/07/07(木)(五十嵐太郎)
オーストラリア建築史大会エクスカーション・ツアー
会期:2011/07/06
[オーストラリア・ゴールド・コースト]
オーストラリアの建築史の大会が企画したエクスカーション・ツアーに参加し、ゴールド・コーストを見学。日本とは逆に人口が増えており、イケイケの建設状況である。超高層のスカイポイントの展望台から街を眺めると、シカゴのように、ビルの影が海面に写り込む。過去に津波はなかったのだろうが、311後に見ると、まったく堤防がない親水性あふれる街が無防備に見えてしまう。それにしても、サーファーズ・パラダイスという名前がすでにそうであるように、多幸感にあふれる街だ。季節は冬だが、ちょうど過ごしやすい。
2011/07/06(水)(五十嵐太郎)
横浜国立大学Y-GSA講評会(北山恒スタジオ)
会期:2011/07/01
横浜国立大学[神奈川県]
横浜国立大学のY-GSAの北山スタジオの講評会へ。大きなボイラー室を改造した製図環境が素晴らしい。日本ではなかなかお目にかかれない空間だ。課題は、3.11以降を踏まえた木密地域において共同体建築を構想すること。スタジオの学生の出身大学がほとんど異なっていたせいか、いろいろな個性がある。そして手がよく動く。ちなみに、東北大の五十嵐研からも二名が疎開プログラムで、このスタジオを受講していた。
2011/07/01(金)(五十嵐太郎)
UIA2011 TOKYO 111 Days before 展
会期:2011/06/01~2011/06/29
行幸地下ギャラリー[東京都]
地下道沿いの両側の壁がギャラリーになった空間なので、ここでアートの展示をやっても大したことはできない。建築展もただパネルを並べるくらいなので、形式ではなく、内容について紹介しよう。9月末に開催されるUIAの東京大会を事前に盛りあげるべく、リトアニアと日本の建築家をとりあげたセクションのほか、「建築関連団体の震災支援活動」がタイムリーな企画だった。メディアの注目が集まる、アーキエイドや帰心の会とは違い、いわゆる有名な建築家によらない、地道な活動を取り上げている。
2011/06/28(火)(五十嵐太郎)
布野修司『建築少年たちの夢』
『建築少年たちの夢』は、筆者も寄稿する『建築ジャーナル』が初出なので(連載時のタイトルは異なる)、ときどき読んでいたが、350ページ超の分厚い本として刊行された。布野さんの同世代からその上の建築家の評伝であると同時に、著者の個人史を重ねあわせながら、ポストメタボリズムの70年代を鮮やかに、そしてリアルに描く。活字化されていない証言やエピソードが断然おもしろい。僕の名前はA-cup絡みで登場していた。
2011/06/27(月)(五十嵐太郎)