artscapeレビュー
小吹隆文のレビュー/プレビュー
MOVING Live 0 in Kyoto
会期:2014/09/06
五條會舘[京都府]
2011年に2度のプレイベントを行ない、2012年に第1回を開催した、映像芸術祭「MOVING」。2015年2月に予定されている第2回に先立ち、映像×音楽をコンセプトとしたライブパフォーマンスが開催された。出演者は、浦崎力×てあしくちびる、山城大督×swimm、宮永亮×志人、柴田剛×池永正二の4組(いずれも映像、音楽の順)。両者の関係性を大別すると、それぞれが独立した作品、映像による音楽の演出、以前制作したミュージックビデオをもとに映像と音楽を発展させる、といったところ。当日は悪天候で、会場の空調設備が貧弱だったため蒸し風呂のような状態になったが、4組とも良質なコラボレーションを展開してくれたおかげで濃密な一時を過ごすことができた。10月19日には千葉県柏市のキネマ旬報シアターでも公演が行なわれる。首都圏の方におすすめしたい。
2014/09/06(土)(小吹隆文)
中島麦 BECOME THE RESIDENT of KITAHAMA N BLDG. produced by infx
会期:2014/08/01~2014/08/27(予約制オープンアトリエ)、2014/08/28~2014/08/31(オープンアトリエ)、2014/09/01~2014/09/15(アトリエ展示公開)
KITAHAMA N BLDG.[大阪府]
画家の中島麦が、大阪・北浜の商業ビル地階の空きテナントに自身のアトリエを一時移転させ、1カ月半にわたりオープンアトリエと公開制作と作品展示を行なった。何もないまっさらな空間に画材や備品が持ち込まれ、日々制作を積み重ねるうちに、壁面には作品が、床には絵具の染みが広がっていく。一作家の創造の過程をこれほど長期間にわたり公開するケースは稀であり、場所が交通至便な大阪市内中心部だったことも幸いしたのであろう。入口付近の壁面は来訪者がサインを記したカードで埋め尽くされ、多くの人に支持されていたことが窺えた。と言っても、事前に大々的な告知を行なったわけではない。SNSによる口コミの輪が徐々に広がっていったのだ。このイベントの成功を機に、大阪市内中心部で同様の催しが広まることを期待する。
2014/08/28(木)(小吹隆文)
再燃焼展
会期:2014/08/26~2014/09/06
MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY pfs/w[京都府]
家庭で不用になった量産陶磁器を回収し、古民家の解体素材を燃料にして窯で再焼成したものを、作品として展示している。昨年に続く2度目の展示だが、前回と異なるのは実用に耐えうる品が少なからず含まれる点だ。以前の作品は異形の美というか、再焼成により絵付けや本体に生じた予測不可能な変形を愛でる意味合いが強かった。要するにオブジェである。しかし今年の新作のなかには、一見の者が事前説明なしに見ても実用品と呼べるものが幾つかあった。このプロジェクトが目指すゴールがどこなのかは不明だが、技術的向上により選択肢が広がったことは歓迎すべきだ。
2014/08/28(木)(小吹隆文)
旅行記[前編] 佐藤貢 出版記念展
会期:2014/08/27~2014/09/07
iTohen[大阪府]
廃品や拾得物などを組み合わせて、詩情豊かなジャンク・オブジェをつくり上げる佐藤貢。彼の場合、作品もさることながら、その生き方自体も魅力的である。20代のアジア放浪から、帰国後の和歌山移住、そして現在の在住地である名古屋まで、佐藤の行動は常に捨て身の直感に従っており、その都度の出会いを肥やしにして作品世界を成長させてきた。まるで彼自身が強力な磁場であるかのように、人と素材と場が引き寄せられていくのである。そんな佐藤が、アジアでの放浪旅行の前半部を綴った自伝『旅行記』を出版し、その記念として個展を開催した。作品はオブジェが中心で、ドローイングと平面作品が少々。作風に大きな変化はないが、廃品のガラス瓶(液体入り)の多用が目立っている。自伝出版を機に、彼への理解が劇的に深まる可能性がある。後編の出版と次の個展が待ち遠しい。
2014/08/27(水)(小吹隆文)
プレビュー:京都銭湯芸術祭2014
会期:2014/09/27~2014/10/26
京都市北区・上京区の銭湯8店舗(紫野温泉、門前湯、大徳寺温泉、加茂湯、若葉湯、龍宮温泉、京極湯、長者湯)[京都府]
古来より老若男女の社交場としての役割を持っていた銭湯。そこにアートを介入させることにより、銭湯、アート、人間の新たな関係性を構築しようとするのが本展だ。西垣肇也樹をはじめとする5人の若手アーティストが実行委員会を組織し、応募者のなかから8名の出品作家を選出。出品作家には、作品としての本質的な魅力に加え、銭湯の空間的特性を生かした作品が求められている。また、椿昇を始めとする3名の審査員を招聘し、湯賞(グランプリ)などの賞を授与する予定だ。
2014/08/20(水)(小吹隆文)