artscapeレビュー

建築に関するレビュー/プレビュー

《FLAP》、《県営吉島住宅3期》、《GOD BURGER HOUSE》

[広島県]

土井一秀の作品を見学する。《FLAP》(2012)は交通が多い前面道路に対して防御しつつ、光と風をとりこむ断面形状の住宅である。《県営吉島住宅3期》は、まだ現場の段階だったが、古い中層の県営住宅の建て替えに際して、高層のワンボリュームにまとめず、周辺環境のスケール感と調整しながら6つのボリュームに分配するプロジェクトだ。そして《GOD BURGER HOUSE》(2010)(現在は別店舗になっている)は、非対称の穴あきコンクリートブロックのユニットを回転させながら、曲面の壁をつくる飲食店である。

2014/10/05(日)(五十嵐太郎)

戦後日本住宅伝説──挑発する家・内省する家 関連プログラム オープニング鼎談「広島新世代建築家たちの視点」

会期:2014/10/04

広島市現代美術館[広島県]

「戦後日本住宅伝説」展の初日は、オープニング鼎談「広島新世代建築家たちの視点」を開催し、小川文象、土井一秀と、今回の展示作品に触れつつ、住宅の現在についてトークを行なう。未来を築こうとする小川と、街並みの文脈を意識する土井の違いが明快だった。打ち上げでは、三分一博志が手がけた市内のレストランに出かける。

2014/10/04(土)(五十嵐太郎)

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《BEAM HOUSE》、《MISS HIROSHIMA》、《l'ombre de ange》

[広島県]

小川文象の作品を見学する。《BEAM HOUSE》(2009)はポストモダン住宅のリノベーションゆえに、構造的に変えられない部分を与件としながら、光と色の様々な効果を導入し、開放的な空間に変える処女作だった。一方、アーケード街に面する《MISS HIROSHIMA》(2012)は、フラットバーを斜めに交差させた籠のような外皮が構造体となり、角地の商業施設を包む。そしてインテリアの仕事となる《l'ombre de ange》(2012)は、「天使の影」という店名を意識し、光リングの影が映る白い洞窟のようなバーである。

2014/10/03(金)(五十嵐太郎)

戦後日本住宅伝説──挑発する家・内省する家

会期:2014/10/04~2014/12/07

広島市現代美術館[広島県]

広島市現代美術館に「戦後日本住宅伝説」展が巡回されるので、設営現場に向かう。同じ黒川紀章の建築だが、埼玉県立近代美術館に比べて、広い空間なので、没入感のある巨大写真タピスリーのインスタレーション、塔の家の1/1スケール図面などがパワーアップした。ほかに新規で追加した資料の展示物も増え、さらに充実した内容となった。






会場風景

2014/10/03(金)(五十嵐太郎)

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建築文化週間2014 建築夜楽校「東京オリンピック2020から東京を考える」第1夜「新国立競技場の議論から東京を考える」

会期:2014/10/01

建築会館ホール[東京都]

日本建築学会、建築夜楽校のシンポジウム「新国立競技場の議論から東京を考える」にコメンテーターとして出席する。司会の松田達は、まずこの錯綜している問題に関する、さまざまな論点を整理し、続いて青井哲人は議論すべきことを指摘した。また浅子佳英は、311以降の文脈から大胆な穴掘りによるスタジアム案をオルタナティブとして提示する。そして一連の議論のきっかけをつくった槇文彦は、ザハ案の阻止を訴え、コンペの審査員をつとめた内藤廣はすぐれたものをつくるべきという。多くの聴衆の関心を集めたように、この問題に関して、槇と内藤が初めて同じ場において議論したことが最大の成果である。とはいえ、結論が出たわけではない。ザハ案の反対派が強固なことが再確認された。またシンポジウムにあわせて、関連企画展「東京オリンピック2020から東京を考える」展が開催された。

左:森山高至によるキャラ建築
右:浅子佳英によるショッピングモールのモデルなどを応用した選手村案

2014/10/01(水)(五十嵐太郎)