artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
o mi Yah! プロジェクト
会期:2012/08/04~2012/08/26
TRUCK MARKET gallery(新風館内)[京都府]
TRUCK MARKET galleryという期間限定のアートギャラリーがオープンし、若いアーティストたちの作品を紹介、展示、販売している。ここで8月の初旬から開催されていた「o mi Yah !」という企画は面白かった。〈新しい京都のおみやげ店〉と銘打って、4人の作家の作品展示とともに各アーティストと企業がコラボレートした商品を販売していたのだ。現在、奈義町現代美術館でも個展を開催中の中島麦の絵画作品をかたどった和菓子、ろうけつ染めの作品を発表している立松功至の和小物など、作家と(企業)商品の組み合わせのセンスも良い。これからも開催してほしい企画。

左=会場風景
右=中島麦と和菓子店「青洋」コラボレーション和菓子

左=中島麦作品
右=岡村優太作品(左)、立松功至作品(右)
2012/08/26(日)(酒井千穂)
原倫太郎+原游「影祭──夏祭り万華鏡、真夏の行進」

会期:2012/07/29~2012/09/17
十日町商店街[新潟県]
昨日は松代のBankART妻有で作品制作。今日帰る前に、7月のバスツアーで見逃した十日町商店街の展示を見に行く。入口の暗幕を開けると、がらんとした薄暗い空きスペースにポツンと電球が灯され、壁や床や天井に人やものの影が伸びている。実体がないので影は描かれたものだとすぐわかるが、影自体が錯綜しているので光源はひとつではないらしい。よく見ると、松代にあるイリヤ&エミリア・カバコフの彫刻によく似た人影もあって、いろいろな仕掛けが施されているようだ。近所の人たちを連れてきたり身近なものを使って、この場所で制作したサイトスペシフィックな壁画といえる。
2012/08/25(土)(村田真)
ハウステンボス美術館所蔵「M・C・エッシャー展──変容・無限・迷宮」
会期:2012/07/14~2012/09/02
佐川美術館[滋賀県]
オランダ出身の版画家M・C・エッシャー(1898-1972)の展覧会。長崎のハウステンボス美術館が所蔵するコレクションから、初期の緻密で現実世界を描いた風景画や、寓意的な詩集や物語の挿絵、連続して「変容」するモチーフや画面を埋め尽くす「平面正則分割」、現実ではありえない「迷宮」のような空間を描いた作品など126点が展示された。これほど纏まった量のエッシャーの作品を見たのも、その不思議な世界にこれほど魅了されたのも初めてだった。特に目の錯覚を巧みに利用した作品のテクニックやそのユーモアは圧巻。素晴らしく自由な想像力とそれを二次元に表現する才能に釘付けになる。生物、建築や風景の丁寧な観察も偏執的でエッシャーの人となりも垣間みるような展示構成だった。解説も詳しかったのだが、エッシャーの作品世界をいっそう楽しめるようなワークショップコーナーや体験空間も用意されていて、会場は家族連れや若い人たちで賑わっていた。

会場風景

錯覚・錯視を体験する特設空間「エイムズの部屋」
2012/08/25(土)(酒井千穂)
プレビュー:BIWAKOビエンナーレ2012 御伽草子~Fairy Tale~

会期:2012/09/15~2012/11/04
近江八幡市旧市街地、東近江市五個荘[滋賀県]
安土桃山時代以来の歴史を有し、江戸時代の面影を今に残す町並みで知られる近江八幡市の旧市街地。同地の空き家や古い建物などを会場にして行なわれてきた現代アート・イベントが「BIWAKOビエンナーレ」だ。5回目の今回は、隣接する東近江市の五個荘も会場に加え、過去最大のスケールで開催される。内容の充実ぶりに対して、低予算や宣伝下手、地元民や自治体との関係性の浅さというジレンマを抱えていた同ビエンナーレだが、ここに来て規模拡大ということは、それらの突破口をみつけたということだろうか。観客にとっては2会場の移動という新たなハードルが加わるわけで、従来以上に細やかな運営や対応が求められる。その意味で、今回がBIWAKOビエンナーレの正念場なのかもしれない。
2012/08/25(土)(小吹隆文)
プレビュー:六甲ミーツ・アート 芸術散歩2012

会期:2012/09/15~2012/11/25
六甲山カンツリーハウス、六甲ガーデンテラス、自然体感展望台 六甲枝垂れ、六甲高山植物園、六甲オルゴールミュージアム、六甲山ホテル、六甲ヒルトップギャラリー、六甲ケーブル[兵庫県]
今年で3回目を迎える、六甲山上のさまざまな施設を会場とするアート・イベント。点在する作品をピクニック気分で観賞するうちに、アート、自然、さらには明治時代に居留外国人たちの手でリゾート地として開発された六甲山の歴史までもが体感できる。今年の出展アーティストは、今村遼佑、開発好明、片桐功敦、加藤泉、クワクボリョウタ、しりあがり寿、東恩納裕一、横溝美由紀など33組。作品についてはいまだ情報を得ていないが、このメンバーなら失望させられることはないだろう。昨年の第2回はやや地味な印象があったが、今年は野外展ならではのスケール感や解放感、野太さが感じられる作品の登場を期待したい。
2012/08/25(土)(小吹隆文)


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