artscapeレビュー
ハウステンボス美術館所蔵「M・C・エッシャー展──変容・無限・迷宮」
2012年09月15日号
会期:2012/07/14~2012/09/02
佐川美術館[滋賀県]
オランダ出身の版画家M・C・エッシャー(1898-1972)の展覧会。長崎のハウステンボス美術館が所蔵するコレクションから、初期の緻密で現実世界を描いた風景画や、寓意的な詩集や物語の挿絵、連続して「変容」するモチーフや画面を埋め尽くす「平面正則分割」、現実ではありえない「迷宮」のような空間を描いた作品など126点が展示された。これほど纏まった量のエッシャーの作品を見たのも、その不思議な世界にこれほど魅了されたのも初めてだった。特に目の錯覚を巧みに利用した作品のテクニックやそのユーモアは圧巻。素晴らしく自由な想像力とそれを二次元に表現する才能に釘付けになる。生物、建築や風景の丁寧な観察も偏執的でエッシャーの人となりも垣間みるような展示構成だった。解説も詳しかったのだが、エッシャーの作品世界をいっそう楽しめるようなワークショップコーナーや体験空間も用意されていて、会場は家族連れや若い人たちで賑わっていた。
2012/08/25(土)(酒井千穂)
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