artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

巧術

会期:2010/04/02~2010/04/07

スパイラルガーデン[東京都]

出品作家は、中村哲也、須田悦弘、カンノサカン、あるがせいじ、桑島秀樹……。彼らの名前と作品を知らない人にはなんのことかさっぱりだが、知ってる人にはそれなりの共通イメージが浮かんでくるはず。そう、巧みな術、みごとな手わざ。それにしてもレントゲンヴェルケの作家が多いなあと思ったあなた、正解。同展のキュレーターを務めるのはレントゲンの若旦那、池内務なのだ。会場には、池内好みのツルツルテカテカの手づくりハイテク製品がシャキーンと並ぶ。でも、内海聖史はちょっと違う気がしないでもない。

2010/04/07(水)(村田真)

舟田亜耶子 展

会期:2010/04/06~2010/04/14

ギャラリ16[京都府]

3種類の写真作品を出品。うち2つはレンチキュラーシートを用いたもので、ギャルたちを曼荼羅のように配した作品と、5人から10人の顔を重ねたポートレイトだった。もうひとつはグラビアアイドルのようなポーズを取った少女たちの顔をスクラッチシートで覆っていた。私が秀逸だと思ったのはポートレイト作品。現実と仮想空間を自在に使い分け、TPOに応じてキャラクターを使い分ける現代人の姿が的確に描写されていたからだ。舟田は今回が初個展だが、幸先の良いスタートとなった。

2010/04/07(水)(小吹隆文)

きょう・せい 第1期

会期:2010/04/02~2010/04/25

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA[京都府]

京都市立芸術大学が市内中心部に学外ギャラリーをオープン。そのこけら落としは、同校出身の若手たちによるグループ展だった。内容的には詰め込み過ぎの感もあったが、オープニングゆえ祝祭気分を優先したのだと好意的に解釈しておこう。今後、この新ギャラリーを舞台に重要な展覧会が開催され、注目の新人たちが巣立っていくことを期待する。

2010/04/07(水)(小吹隆文)

片山雅史 展

片山雅史 展─螺旋/風景
会期:2010/04/03~2010/05/01
ギャラリーノマル[大阪府]
片山雅史 展─風景/網膜
会期:2010/04/05~2010/05/01
2kw gallery[大阪府]

07年に大阪で開催した個展では、円形のキャンバスに鮮やかな色彩で描かれた絵画約1,000点を壁一面に配置していた片山。今回2会場で発表したのは、以前の作品とはまったく違うモノトーンの線描画だった。ギャラリーノマルでの作品は、生気に満ちた曲線が主体。一方、2kw galleryの作品は直線が主体で古典絵画の構図を借りたものもあった。片山はひとつのシリーズを時間をかけて追及していくタイプの作家だ。滅多にない作風の大転換期に立ち会えたのはラッキーだった。

2010/04/06(火)(小吹隆文)

マネとモダン・パリ

会期:2010/04/06~2010/07/25

三菱一号館美術館[東京都]

丸の内のビジネス街に現われたレンガづくりの建物が三菱一号館美術館。もともと三菱一号館は、19世紀末にジョサイア・コンドルの設計でこの地に建てられたビルの名。1968年に解体されたが、約40年後に復元され、美術館として生まれ変わったというわけ。その開館記念展として開かれているのが「マネとモダン・パリ」だ。マネといっても《草上の昼食》も《オランピア》も来てない。でも《ローラ・ド・ヴァランス》《エミール・ゾラ》《すみれの花束をつけたベルト・モリゾ》は来てる。ま、日本で望める最高レベルのマネ展というべきだろう。作品より気になるのが展示空間。レンガづくりの外観ばかりか内部まで昔どおりに復元し、美術館として設計変更してないため、比較的小さな部屋がいくつもあって迷路のようだ。いちばん首をかしげるのは、せっかくリッパな格子天井を再現したのに照明器具で隠れたり、使えないかたちだけの暖炉が各部屋ごとに復元されたりしていること。そりゃまあ雰囲気は出るけど、なんかディズニーランドみたいなウソっぽさが感じられないか。それなら最初から壊さなければよかったのに。

2010/04/05(月)(村田真)

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