artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

きょう・せい

会期:2010/04/02~2010/04/25

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA[京都府]

京都市立芸術大学のギャラリーが新たにオープンした。2期にわたって開催される企画展のタイトルは「きょう・せい」。第一期の今展は、どの作品が誰の、という個々の展示ではなく、共同して作品制作、展示を行なうというもので、言ってみればごちゃまぜの作品で構成された会場になっていた。それなりに賑やかな面白さもある反面、作品によっては、むしろ各々の魅力が削がれてしまっている印象や作家たちの意識の温度差が目につくものもあり、少し残念な気もした。ただ、会場の順路には、京都市立銅駝美術工芸高等学校の卒業生の作品を展示した同時開催展の展示室もあり、それがとても良い。ここに伝統を受け継ぐとともに新しい表現者たちを育んできた京都の芸術環境の歴史や、その京都らしいあり方が示されている。個人的には「きょう・せい」という今展のタイトルは館自体の名称にしたら良かったのにと思うが、ともあれ、今後の活動に期待している。

2010/04/16(金)(酒井千穂)

死なないための葬送……荒川修作 初期作品展

会期:2010/04/17~2010/06/27

国立国際美術館[大阪府]

荒川修作が1961年に渡米する直前に、村松画廊と夢土画廊で発表した棺桶型の立体作品。それらののうち20点が集結した。木の箱に納められたオブジェは内臓や汚物を思わせるグロテスクさで、なかには女性の生理用品を思わせるものも。それらが光沢のあるクッションの上にうやうやしく横たわっている姿はどこか滑稽でもある。作品を見るうち、D・クローネンバーグの映画を見た後のようなどんよりした気持ちになった。

2010/04/16(金)(小吹隆文)

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上田順平 展 パート1「帰ってきたウラシマピーターパン」、パート2「カンゲン」

イムラアートギャラリー[京都府]

会期:2010/04/03~2010/04/10、2010/04/13~2010/05/01

会期前半は「帰ってきたウラシマピーターパン」と題し、08年に岡本太郎現代芸術賞展で岡本敏子賞を受賞した《ウラシマ・ピーターパン》を、受賞時の状態に似せて展示。後半の「カンゲン」は、これまでの過剰な装飾性とは一線を画する埴輪のような新作陶オブジェ5点が発表された。今秋から1年間のメキシコ留学に旅立つ上田は、さらなる飛躍のために自分をリセットするつもりで新作を発表したのかもしれない。一時の成功に安住せず、果敢に前進する上田の姿勢に共感した。

2010/04/14(水)(小吹隆文)

ポーラミュージアムアネックス展2010─祝祭─

会期:2010/04/01~2010/04/25

ポーラミュージアムアネックス[東京都]

ポーラ美術振興財団から助成を受けたアーティスト4人のグループ展。インクジェットプリントした画面の一部に色彩を施す遠藤良太郎、合板を樹木などのかたちに切り抜いて彩色した小木曽瑞枝、テーブル上にパーティーグッズや食器を並べた斎藤麗、ドイツに住んで日本的題材のイラストを描く内田早苗と、タイトルの「祝祭」を意識した明るく楽しげな作品が多く、居心地が悪い。おれはグサッと刺されるような作品が見たいんだ。

2010/04/13(火)(村田真)

寺崎百合子:音楽

会期:2010/04/09~2010/05/29

ギャラリー小柳[東京都]

バイオリンやパイプオルガンを鉛筆で精緻に描いている。古い書物や図書館を鉛筆で描写する小川百合によく似ているなあ、同じ小柳でかぶるだろうに……と思ったら、同一人物だった。いつのまに名前が変わったんだ?

2010/04/13(火)(村田真)