artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
プレビュー:奥行きの感覚
会期:2014/01/18~2014/01/26
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA[京都府]
2012年度より京都市立芸術大学で行なわれている“テーマ演習”枠の授業「奥行きの感覚」の成果報告展。古今東西のあらゆる芸術表現を紐解くためのキーワードとしてある「奥行きの感覚」について、彫刻専攻、陶磁器専攻、日本画専攻、哲学研究室、宇宙物理学研究室の各教員とあらゆる専攻の学生が参加し、研究を進める授業だという。専門領域を横断するユニークな授業形態もだがどんな内容なのか興味がそそられる。今回の展示で紹介されるのは、2012年度から今年度前期に行なわれた研究成果。会期は短いのだが面白そう。
2014/01/15(水)(酒井千穂)
プレビュー:ウィリアム・ケントリッジ《時間の抵抗》(「PARASOPHIA──京都国際現代芸術祭2015」プレイベント)
会期:2014/02/08~2014/03/16
元・立誠小学校 講堂[京都府]
2015年3月から5月にかけて、京都市美術館、京都府京都文化博物館ほか京都府、京都市の関連施設などで開催される予定となっている「PARASOPHIA──京都国際現代芸術祭2015」。そのプレイベントとして、南アフリカの美術家ウィリアム・ケントリッジの大規模映像インスタレーション作品《時間の抵抗》(原題=The Refusal of Time)が展示公開される。2月22日には作家自身が本作について語るレクチャーも行なわれる。
2014/01/15(水)(酒井千穂)
プレビュー:THE COLLECTION 2014:Room 1「凸凹(でこぼこ)」/Room 2「戦争の惨禍──ゴヤによる80点の銅版画集」
会期:2014/01/11~2014/03/09
伊丹市立美術館[兵庫県]
「諷刺とユーモア」というユニークな独自のテーマで蒐集活動を行なっている伊丹市立美術館。19世紀を代表するフランスの作家、オノレ・ドーミエをはじめ、その所蔵品は多彩で「コレクション展」も楽しみだ。今回は、凸凹(でこぼこ)、フランシスコ・デ・ゴヤの銅版画集《戦争の惨禍》の初版全80点という二つのテーマで開催される。会期も3月9日までと長いのでぜひ足を運びたい。
2014/01/15(水)(酒井千穂)
プレビュー:京都府美術工芸新鋭展──京都国際現代芸術祭2015への道
会期:2014/01/25~2014/02/09
京都文化博物館(4階特別展示室)[京都府]
創造性や技術を備えた新進若手作家の発掘と育成を図ることを目的にした京都府美術工芸新鋭展。新鮮な感覚や感動を喚起する作品や作家との出会いに毎回期待も膨らむ恒例の展覧会だ。今年は43組の作家たちが出品。京都で活動する若手作家達の作品とともに別館ホールでは、ヤノベケンジの《Sun Sister》も特別展示される。こちらは入場無料。
2014/01/15(水)(酒井千穂)
山元彩香「Nous n’irons plus au bois」
会期:2014/01/11~2014/02/08
タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム[東京都]
1983年、神戸市生まれの山元彩香は、2009年からフィンランド、エストニア、ラトビア、フランスなどでポートレートの撮影を続けてきた。モデルは10歳~20歳代の女性。6×6判のカラーフィルムで撮影されるそれらの写真に写し出されているのは、少女から大人の女性へと流動的に変容しつつある、不思議な手触りの「いきもの」たちの姿だ。ことさらに、特異な撮り方をしているわけではないのだが、今回タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムで展示された「Nous n’irons plus au bois」の写真群を見ていると、彼女たちのなかに潜んでいた、時には禍々しくもある魔術的な心性が明るみに出されているように感じる。
その「翻訳不可能なイメージ」を引き出すために、山元は撮影に際して、あまり目立たないけれども細やかな操作を施している。顔に布を被せたり、唇から赤い糸を垂らしたり、髪の毛に花を編み込んだり──それらの遊びとも祈りともつかない行為は、山元とモデルたちの共同作業というべきものだ。どうやら彼女たちは言葉でコミュニケーションを取り合っているのではなく、あたかも動物が互いに皮膚を擦り付けあうように意思を伝達しているのではないかと想像できる。そのもどかしいけれども、強く感情を共振する身振りの積み重ねが、このシリーズに説得力を与えているのではないだろうか。今回は9点の作品が発表されたが(同時刊行のカタログには15点掲載)、まだこれから先どう動いていくのか本人にもよくわかっていないようだ。このまま、さらにコントロール不可能な領域に踏み込んでいってほしいと思う。
2014/01/14(火)(飯沢耕太郎)