artscapeレビュー

GODZILLA ゴジラ

2014年09月15日号

映画『ゴジラ』(監督:ギャレス・エドワーズ)を鑑賞する。しばしば酷評される1998年のハリウッド版の爬虫類的ゴジラも文化的な誤読として興味深かったが、今回は畏怖すべき自然の象徴として描く。原発事故、情報隠蔽も交え、現代的なテーマを組み込んでいるが、怪獣ムートーの出番が多過ぎかもしれない。暗がりのなかで出し惜しみしながら、全体をあまり見せない戦闘シーンは印象的だった。トランスフォーマーが晴天のもと、うんざりするくらい超速で変形バトルが延々と続くのとは対照的である。直接すぐに見せない、引張って引張っての演出は、途中、なかだるみもなくはないが、ゴジラの聖性を高めている。やはり1954年の第一作がベストだとは思うが、これだけのクオリティのゴジラをハリウッドでつくられると、もう日本で制作することは今後難しいかもしれない。

2014/08/01(金)(五十嵐太郎)

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