2018年10月15日号
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artscapeレビュー

薬草の博物誌──森野旧薬園と江戸の植物図譜

2016年03月01日号

会期:2015/12/04~2016/02/16

LIXILギャラリー大阪[大阪府]

本展は、江戸期以降の植物図譜を科学性・芸術性の両面から読み解く展覧会。そもそも西洋で植物を正確に写し取る傾向が出てきたのは、ルネサンス期のこと。近代になると海外の珍しい植物が輸入され、薬としての効用の知識伝達と美的鑑賞の用を兼ね備えた「ボタニカル・アート」(科学的な植物画/植物学的美術)が発展する。アール・ヌーヴォーなどを見ればとりわけ19世紀において、植物が芸術創作の源泉となったことが首肯される。一方日本では、江戸期以降に薬効に関する実用的な本草学が中国から招来され、シーボルトら外国人による植物学の発展を経て自然科学を根拠として植物画が普及してゆく。それだけにとどまらず、植物図は日本の花鳥画とも互いに影響関係がある。例えば、本展で展示された日本で最初の植物図鑑『本草図譜』(岩崎灌園著)を見ると、浮世絵に見られるような大胆な構図と植物部分の切り取りとクローズアップ及び美しい木版刷りの色彩に目を見張ってしまう。植物の特徴をよく捉えてそれを美的に表象する、これはまさに妙なるデザイン性の賜物。最終部には、植物学者・牧野富太郎による植物図が展覧されて、本草学から植物学の確立に至る歴史を通覧することができる。[竹内有子]

2016/02/16(火)(SYNK)

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