artscapeレビュー

龍野アートプロジェクト2011「刻の記憶」

2011年12月01日号

会期:2011/11/18~2011/11/26

うすくち龍野醤油資料館周辺の醤油蔵、龍野城、聚遠亭(藩主の上屋敷)[兵庫県]

薄口醤油や素麺の産地として知られる兵庫県たつの市。同市はまた、古い歴史を持つ城下町であり、三木露風をはじめ文学者を多数輩出した土地としても知られている。その城下町エリアの3カ所を会場に行なわれたのが本展である。出品作家は、尹熙倉、東影智裕、小谷真輔、佐藤文香、芝田知佳、井上いくみ他ルーアン美術学校の卒業生たち。また、京都市立芸術大学准教授の加須屋明子が芸術監督を務めた。本展で特に印象深かったのは醤油蔵の展示で、作品の質はもちろんだが、空間自体のポテンシャルが大変高く、その相乗効果で非常に素晴らしい展示が見られた。この醤油蔵は、是非今後も有効活用してほしい。たつの市の城下町は小さいが、古い街並みが比較的良好に保存されており、観光地としても魅力的だ。このプロジェクトを単発で終わらせるのではなく、地元の文化・観光資産として長期的に育ててほしいと思う。

2011/11/18(金)(小吹隆文)

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