artscapeレビュー
川端紘一 展
2012年07月01日号
会期:2012/06/12~2012/06/23
ギャラリー16[京都府]
京都・舞鶴の浜辺で採集した海砂を何度もふるいにかけて細かい粒子にし、展示室内に美しい円錐形の小山を出現させた。砂は約3トンも用いているという。山の稜線は非常に美しいが、中に土台や芯を設けると決してこのような形にはならないそうだ。時間の経過とともに稜線の一部が崩れていたが、その崩落の跡すらも美しかった。また、成形には送風機を用いるが、その副産物としてふもと部分に風紋が発生する。この風紋が山の稜線に負けず劣らずの美しさであった。作品は個展の終了とともにもとの砂に戻る。そのはかなさも本作の魅力であろう。
2012/06/12(火)(小吹隆文)