artscapeレビュー

《三次市民ホール きりり(KIRIRI)》

2017年11月01日号

[広島県]

青木淳が設計した三次市民ホールを見学する。災害対策として、ピロティの上に施設全体が載っているが、下はすべて駐車場なので、郊外のファミレス型の空間構成とも言える。ただし、この建築にはいわゆる正面性がない。中庭や開口をあちこちに散りばめながら、ホールや楽屋も上部からの採光を可能とし、自然光を生かすのも、電源を喪失しても内部が明るさを維持することを想定しているからだ。なお、スタジオ群の上部空間は冗長性をもつ、リノベーション風のデザインであり、青木らしさが感じられる。

2017/09/04(月)(五十嵐太郎)

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