artscapeレビュー
石塚まこ「ちいさな世界を辿ってみると」
2017年11月01日号
会期:2017/09/30~2017/10/22
デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)[兵庫県]
神戸出身のアーティスト石塚まこが、地元のアートセンターでの滞在制作を経て個展を開催した。彼女は長らく海外を拠点に活動を続けており、絵画や彫刻といったオーソドックスな作品を制作するのではなく、滞在先で出会った人々や文化との交流を経て生じる感興や関係性を、さまざまなかたちで作品化している。その際に「食」をコミュニケーションの手段にすることも多く、本展では食にまつわるメモをびっしりと記したノートや、朝食を食べ終えたあとに残った野菜や果物の皮から着想した写真作品とそのバリエーションなどが展示された。彼女の作品はカテゴライズが難しく、正直これがアートなのかと思ったりもする。展覧会よりも本人と直接コミュニケートしたほうがずっと魅力が感じられるのではないか。しかし、こうした感想を抱くのは、こちらが常識に凝り固まっているせいかもしれない。今後も作品を見続ければ、彼女への評価が変化する可能性がある。関西のギャラリーやアートスペースがその機会を設けてくれるよう期待している。
2017/10/21(土)(小吹隆文)