artscapeレビュー

Expect The Unexpected 田中真吾

2017年11月01日号

会期:2017/09/01~2017/09/30

eN arts[京都府]

田中真吾は炎を駆使した作品で知られる作家だ。これまでに、紙、木の角材や板、ビニール袋などを燃やして、その痕跡を造形化した作品を発表してきた。本展では薄い鉄板をバーナーで焼く行為を繰り返し、熱の影響で不規則に歪んだ表情を見せる平面作品や、ビニール袋をバーナーで溶かして積み上げた立体作品、バーナーで溶かしたビニール袋を鉄板に溶着させた平面作品を発表した。それらの作品が持つ起伏に富んだ表情は、炎あるいは燃焼という自然現象がもたらしたものだ。そこには作家がコントロールしている部分と人智を超えた部分が混在しており、田中はその絶妙な配合を探りながら、綱渡りのようなバランスで表現を物にしていく。筆者は彼の個展をほぼ皆勤賞で見ており、作品を見慣れているつもりだが、それでも毎回予想を超えて来るのは大したものだと思う。

2017/09/23(土)(小吹隆文)

2017年11月01日号の
artscapeレビュー