artscapeレビュー

「せんだい・アート・ノード・プロジェクト」第2回アドバイザー会議

2018年03月15日号

会期:2018/02/12

せんだいメディアテーク[宮城県]

せんだいメディアテークにて、アートノードのアドバイザー会議に出席した。この日は2017年度の活動と2018年度の計画が報告され、川俣正の貞山運河にかける「みんなの橋」の進捗状況(ちょうど7階にて展示中だった)、藤浩志による「雑がみプロジェクト」、東北リサーチとアートセンター(TRAC)のイベント、複数の企画者によるTALKシリーズなど、多様なプロジェクトが動いていることがうかがえる。もっとも、メディアとしてのタブロイド紙やホームページなどを閲覧しないと、それぞれの企画の参加者に対し、これらが全体としてアートノードという枠組のアイデンティティをもっていることが理解しにくいのではないかと思った。こうした疑問に対して、せんだいメディアテークはあえてそれでよいと考えている。すなわち、もともと全国で乱立する芸術祭とは一線を画するべく、特定の期間に展示とイベントが集中させて、ピークをつくる方法を避け、リサーチをベースにした複数のプロジェクトがいつも同時進行しているスタイルを選んだからだ。

会議の終了後は、TALKシリーズを運営した7名による総括の公開会議が行なわれた。いわば反省会をかねたメタ・イベントなのだが、予想以上に参加者が多く、市民の関心の高さを感じた。これも改めてギャラリー、古書店+カフェ、舞台制作などを営むメンバーが一堂に会して、全体を俯瞰すると、アート、音楽、文学、映画、民俗学など、多様なジャンルのイベントがあちこちの場所を活用しながら開催されていたことがわかる。おそらく、それぞれの個性的な企画者に参加者もついていると思われるが、アートノードを契機にして、普段は聴講しなかったようなタイプのトークにどれくらい足を向けたのかが興味深い。それこそが結節点としてのアートノードである。もちろん、企画者同士が同じ場を共有し、交流することも、これまであまりなかったから、まずはその第一歩となった。


展示風景

川俣正「みんなの橋プロジェクト」(左)と「みんなの船」(右)の構想模型

2018/02/18(日)(五十嵐太郎)

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