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空間デザイン機構シンポジウム「空間デザインの新時代に向けて」

2018年03月15日号

会期:2018/02/15

Gallery AaMo[東京都]

このシンポジウムは、JCD(日本商環境デザイン協会)、DSA(日本空間デザイン協会)、SDA(日本サインデザイン協会)、NDF(日本ディスプレイ業団体連合会)という4つの組織が連携し、2005年に発足した空間デザイン機構が企画したものである。同組織は、これまでも『年鑑 日本の空間デザイン』を共同で刊行していたが、今回は情報を広く社会に発信することを目的にシンポジウムが企画された。内藤廣の基調講演は、渋谷を含む高層化する東京の再開発を山手線のネックレースと位置づけ、一様にならず、各地の個性を残しながら進めるべきだという。加えて、かつてのバブル崩壊前夜の雰囲気もあり、ちゃんとした計画をたてないと、確実に失敗するプロジェクトも出るだろうと警告も行なった。内藤は自らも渋谷の再開発に関わっているが、そのヴィジョンを見ると、かつて坂倉準三が都市デザインを意識しながら、いくつかの垂直のコアを伴う渋谷のデッキ構想を提出したことが想起される。

後半のパネルディスカッション「空間デザインの価値とその将来構想」において、筆者はモデレータを担当した。そもそも「空間」というキーワードは、美術史のバロック研究から注目され、建築の分野では、ギーディオンの著作『空間・時間・建築』でも核となり、建築の諸分野を統合する概念としても提唱されたものである。登壇者の橋本夕紀夫は、1960年代以降の倉俣史郎や杉本貴志の偉業を振り返り、インテリア・デザインのレガシーを強調し、廣村正彰は、建築家らとのコラボレーションを通じたサインの空間進化形のプロジェクトを報告した。資生堂の山本尚美は、最新のテクノロジーを生かしたメディア・アートにも近いディスプレイのデザインを紹介し、三菱地所の井上成は、大手町などで展開する使い手の視点を重視したまちづくりを語る。全体の総括としては、歴史を振り返りながら、異分野との融合をめざしていく空間デザインの未来が共有された。なお、建築や美術に比べて、懇親パーティが華やかだったことも印象的だった。乃村工藝社が新潟の劇場を担当した縁で、NGT48が歌と踊りを披露し、モデル12人による着物のファッションショーなどが行なわれたからである。

2018/02/15(木)(五十嵐太郎)

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