2020年09月15日号
次回10月1日更新予定

artscapeレビュー

オックスフォードの博物館

2019年10月15日号

[イギリス、オックスフォード]

カレッジが分散する街、オックスフォードに移動し、アシュモレアン博物館へ。外観の意匠はクラシックだが、内部は現代的な展示空間に改造され、特に吹抜けまわりの階段が印象的だ。古今東西の充実したコレクションを揃え、大学の運営とは思えない規模である。日本セクションでは、大英博物館と同様、茶室が再現されていた。もっとも、内部に入ることはできず、茶室の窓が面白いという視点はない。ここも現代アートの企画室があり、美術は同時代の家具や食器などと併せて展示されている。また地階では、コレクションの来歴や博物館の学芸員の仕事も紹介されていた。



アシュモレアン博物館の外観



アシュモレアン博物館の地階では、コレクションの来歴が解説されていた


ジョン・ラスキンが関わった自然史博物館は、ゴシック建築的な骨格をスチールに置き換え、屋根をガラス張りとし、太陽の光が降りそそぐ明るい空間である。興味深いのは、そのデザインが内部で展示された恐竜の骨と呼応していること。大型の陳列ケースも、ゴシック様式を意識したデザインだった。またラスキン生誕200周年ということで、コレクションをもとにしたアート作品の公募結果を発表していた。それにしても自然史博物館は、どこも子供で賑わっている。

背後で直接的に連結されたピット・リバース博物館は、一転して暗い空間である。収蔵庫がそのまま展示になったかのような圧倒的な物量が視界に飛び込む。地域や時代で整理せず、マスク、球技など、アイテムごとに世界各地からの収集物が押し込まれた陳列ケースが膨大に反復されている。おおむね2階は女性と子供(装身具や玩具など)、3階は男性(武器など)に関連した内容だった。



自然史博物館の外観



自然史博物館の内部。ゴシック建築的なスチールの骨格が恐竜の骨と呼応している


やはり大学に所属する科学史博物館は、アッシュモレアン博物館の創設時からあるものらしく、17世紀の建築である。全体はそれほどのヴォリュームではないが、特に2階に陳列された時間や空間の計測、計算、あるいは天体やミクロの観察のための器具の造形に惚れ惚れとする。科学の目的に応じて設計された機能主義のはずだが、独自の美学を備え、実際はそれを超えたデザインになっている。


科学史博物館の展示風景より。計測器具の造形美に惚れ惚れする


公式サイト:
アシュモレアン博物館 https://www.ashmolean.org/
オックスフォード大学自然史博物館 https://www.oumnh.ox.ac.uk/
ピット・リバース博物館 https://www.prm.ox.ac.uk/
オックスフォード科学史博物館 https://www.hsm.ox.ac.uk/

2019/09/13(金)(五十嵐太郎)

2019年10月15日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ