2020年06月01日号
次回6月15日更新予定

artscapeレビュー

ロンドン・デザイン・フェスティバル

2019年10月15日号

会期:2019/09/14~2019/09/22

ヴィクトリア&アルバート博物館、デザイン・ミュージアムほか[イギリス、ロンドン]

6月の建築フェスティバルと同様、9月のロンドン・デザイン・フェスティバルも市内の各地で開催されていた。興味深いのは、屋外のインスタレーションがいくつか設置されること。デザインゆえに、ただのオブジェではなく、作品はベンチとしての機能をもつ。ポール・コックセッジは広場において上下にうねるリング状の什器を同心円状に展開し、パターニティはウェストミンスター大聖堂の前に迷路のパターンを模したベンチを置き、子供が遊んでいた。なるほど、大聖堂の床にこうした迷路の模様がよく描かれている。



ポール・コックセッジ《Please Be Seated》



パターニティ《Life Labyrinth》


メイン会場は最も多くの作品が集中するヴィクトリア&アルバート博物館だろう。まず隈研吾による中庭の竹のインスタレーションを鑑賞してから、ス・ドホによるスミッソン夫妻の集合住宅へのオマージュというべき映像など、ガイド・マップを頼りに、あちこちの部屋に点在するプロジェクトを探しながら、巨大な博物館をまわった。おかげで、奥に隠れた舞台美術の部屋など、これまで知らなかった展示室にも気づく。いわゆる歴史的な博物館が、デザインのイヴェントとコラボレートすることで、コレクションの魅力を新しく引きだすような作品も登場しており、日本でもこうした企画が増えてほしい。また建築セクションの部屋では、余暇的な水の空間をテーマとする特集展示が開催されていた。



Rony Plesl Scared Geometry



隈研吾《Bamboo (竹) Ring: Weaving into Lightness》



建築セクションで特集されていた「イントゥ・ザ・ブルー」展より、ザハの設計による水泳競技場の模型

デザイン・ミュージアムでは、いくつか建築に関する展示も企画されていた。2階ではSOMがこれまで手がけてきた高層ビルの構造を説明しながら、数多くの模型を並べていた。また3階ではパネルを用いて、AAスクールが生みだしたラディカルな教育と作品を紹介していた。そして地階では、ビアズリー・デザイン・オブ・ザ・イヤーの展覧会が開催されており、ファッションやプロダクトのほか、建築の部門が含まれていた。選ばれた作品はいずれも短いながら映像で手際よく紹介し、小さい模型だけではわからない情報を効率的に伝えている。なお日本からは、石上純也の水庭が入っていた。



SOMが手がけた高層ビル模型などの展示風景



AAスクールが生みだしてきた教育や作品の展示風景


公式サイト: https://www.londondesignfestival.com/

2019/09/14(土)(五十嵐太郎)

2019年10月15日号の
artscapeレビュー

文字の大きさ