2020年10月15日号
次回11月2日更新予定

artscapeレビュー

LIVE! KOUBA -燕三条 動画と配信-

2020年10月15日号

会期:2020/10/01~2020/10/31

コロナ禍で、今年は数々のイベントや行事が中止や延期、縮小、形態変更を迫られた。形態変更の方法として、一気に市民権を得たのがオンラインの活用である。と言っても、その実態はさまざまであることは確かだ。ネット通販になっただけとか、ビデオ配信だけとか、ZOOM会議のようとか、リアルで味わえた満足感がそっくりそのまま置き換えられるわけではない。しかしオンラインならではの利点もあることに気づいた。それは物理的な距離を埋めてくれることである。飛行機や電車を乗り継ぎ、4〜5時間かけ、わざわざ足を運ばなければならないなど、これまで遠方であることがネックとなって足が遠のいていたイベントも、オンラインであれば気軽に覗いてみようという気持ちにさせる。「燕三条 工場の祭典」の開催をやむなく見送り、今年新たに企画された「LIVE! KOUBA」もそのひとつだ。

「燕三条 工場の祭典」は、2013年から新潟県三条市と燕市で毎年開催されている言わば「工場見学」イベントだ。金属加工業が同地域の資源である強みを生かし、数日間、数十社もの工場を一般に向けて一斉開放することで、工場を観光地化するというユニークな試みが受けている。この手法は、開催当初から日本各地の産地でも地域活性化の手本として熱い注目を浴びてきた。私も気になりつつも、具体的な取材やリサーチでない限り……と遠方であることを理由に行きそびれていたのだが、ついに今年、初めて見ることができた。オンラインで、である。

これまで「燕三条 工場の祭典」は数日間の開催だったが、「LIVE! KOUBA」となったことで、10月の土日を除く1カ月間を費やし、動画と配信でKOUBA(工場、耕場、購場)の様子を発信するという。動画は事前に収録し編集したものを流すことを指し、配信はその日ごとに対談やロケを生配信することを指す(これも後ほど動画として再生できる)。毎日、決められたテーマとスケジュールに合わせて、動画と配信を少しずつ発信することで、ユーザーに何度も「LIVE! KOUBA」を覗きに来てもらうことを狙っている。この点がオンラインへ移行しても変わらない企画力の高さを物語る。もちろん配信に関しては、彼らも放送関係のプロではないので、多少の粗や甘さは目立つが、しかし一所懸命さは伝わる。また私のように気にはなりつつもこれまで訪れたことのない「燕三条 工場の祭典」未経験者に、来年以降、足を運んでもらう良いPRにもなるのではないか。ありきたりな言葉だが、ピンチをチャンスに変えられた者が勝者となる。このコロナ禍では、それがより問われている。

©️「燕三条 工場の祭典」実行委員会


LIVE! KOUBA -燕三条 動画と配信- Trailer ©️「燕三条 工場の祭典」実行委員会

公式サイト:https://kouba-fes.jp/2020
主催・運営:「燕三条 工場の祭典」実行委員会


2020/10/05(月)(杉江あこ)

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