artscapeレビュー
杉本博司 歴史の歴史
2009年05月01日号
会期:2009/04/14~2009/06/07
国立国際美術館[大阪府]
意味深なタイトルが付けられた本展。会場には本人の作品と収集物(化石、隕石、書籍、建築の残骸、仮面、考古遺物、宇宙食、美術品、etc...)が大量に持ち込まれ、美術と諸科学が巨大な渦を巻くような混沌とした空間が形成されていた。その渦の中で攪拌されるわれわれ観客は、否が応でも感性のツボを刺激され、まるで覚醒へと誘われるかのよう。それでいて、作品の配置でちょっとしたストーリーを作ったり、見立てを駆使するなど茶席のもてなしのような遊び心も。また、照明には細心の注意がはらわれており、国立国際美術館が普段とはまるで異なる空間に変身したことにも驚かされた。出品物全てが杉本の所有品ということも含めて、こんな贅沢な展覧会は滅多に見られるものじゃない。清濁併せのんだ大人が本気で遊んだらこうなるんだ、という稀有な一例であろう。
2009/04/13(月)(小吹隆文)
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