artscapeレビュー

キレなかった14才♥りたーんず:「アントン、猫、クリ」(作・演出:篠田千明)

2009年05月01日号

会期:2009/04/16、2009/04/22、2009/04/26、2009/04/27、2009/05/03、2009/05/04

こまばアゴラ劇場[東京都]

アパートの住人が野良猫を囲んで言葉を交わす。プロットはとてもシンプル。見所は快快の演出家・篠田が繰り出すサンプリング的手法。女が舞台中央に立つ。しばらくして口にしたのは「まち。いえ。どーろ。家、家、家、アパート、二軒並んでいる、電信柱、アパート……」。目に入ったものになんでも反応してしまうロボットみたいだ。感情に高まる前の状態といったらいいか。この状態で男や猫と出くわす。時折、反復的な言葉を発する(「雨雨雨……」)と、同じポーズがスタンプを押すみたいに続けられて、それが音楽で言うサンプリングみたいで、そんな反復が時間を進め、ささやかな物語にもかかわらず50分という時間が埋まっていく。演劇が限りなく音楽演奏に見えてくる。けれどもサンプリング(スタンピング)は人力なので、役者は大変だったろうけれど、ダンサー(初期型)のカワムラアツノリは軽々こなしていた。女役の中村真生も大活躍。快快のメンバーが出演していないことで、篠田の演出が明瞭になった本作だった。
キレなかった14才♥りたーんず:http://www.komaba-agora.com/line_up/2009_04/kr14.html

2009/04/16(木村覚)

2009年05月01日号の
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