artscapeレビュー
小谷元彦 SP4”the specter” in modern sculpture
2009年05月01日号
会期:2009/04/04~2009/05/02
山本現代[東京都]
小谷元彦の新作展。疾走する馬にまたがり刀を構える武士の彫像などを発表した。巨大な馬とボロ着をまとった落ち武者のような人体はそれだけで圧巻だが、おもしろいのは馬も人もすべて表面の皮膚を一枚剥がしているところ。筋肉の繊維がむき出しになっているから、解剖用の人体模型のようにグロテスクな印象を強くしている。衣裳を剥ぎ取られた裸婦像へのアイロニーなのか、表面を剥ぎ取り、中身を剥き出しにすることによって「彫刻以前」に立ち返ろうとしているように思えた。
2009/04/11(土)(福住廉)