artscapeレビュー

マン・レイ展 知られざる創作の秘密

2010年09月01日号

会期:2010/07/14~2010/09/13

国立新美術館[東京都]

マン・レイの大々的な回顧展。活動の拠点だったニューヨークやパリ、ロサンゼルス、そして再びパリというように、時系列に沿った構成で、幼少時に描いた絵から、いわずと知れた実験的な写真の数々、そして老年まで嗜んでいた絵まで、約400点あまりの作品が一挙に公開された。解説によると、本人は写真家としてではなく、あくまでも画家として評価されることを望んでいたようだが、本展の展観を見るかぎり、残念ながらそのような評価には同意できない。魅力的だったのはやはり写真や映像であり、絵画はとてつもなく凡庸で、見るべきものは皆無だったからだ。そして見逃してはならないのが、本展の後半で発表されているジュリエットへのインタビュー映像。パートナーによる貴重な証言とアトリエの内観を目撃できるだけでなく、奇天烈なサングラスやメガネを次々とかけかえながらカメラの前でおしゃべりに興じるジュリエットのキャラクターがおもしろい。

2010/08/01(日)(福住廉)

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