artscapeレビュー

建築に関するレビュー/プレビュー

京都工芸繊維大学工芸科学部 造形工学課程 卒業制作展 ゲストによる学生作品講評・ゲストトーク

会期:2012/02/18

京都府京都文化博物館[京都府]

中村竜治らと、京都工芸繊維大学の卒計展の講評とレクチャーを行なった。建築の卒業設計のほかに、卒論やプロダクト・デザイン系なども混ざっているのが、興味深い。そうなると、見慣れた建築よりも、もの珍しさも手伝い、実物が展示できるプロダクト系にどうしても目が向く。講評では、3点選ぶということで、卒計、卒論、デザインからひとつずつ選ぶ。震災絡みの提案はひとつもなく、被災地との距離も改めて感じさせられた。

2012/02/18(土)(五十嵐太郎)

女川(保存される倒壊ビル、RC造の被災ビル、浸水した高台の病院、坂茂「コンテナ仮設住宅」)

[宮城県]

数カ月ぶりに訪れた女川町は、保存される倒壊ビルやRC造の被災ビルをのぞき、ほとんどの瓦礫が撤去され、更地に近い状態になっていた。震災直後に目撃したカオス的な廃墟の風景はもう存在しない。また浸水した高台の病院も、一階の復旧工事中だった。各種のメディアでとりあげられた坂茂によるコンテナを積んだ仮設住宅は、野球場に並んでいた。ほかの仮設住宅より、確かにスペックがよく、恵まれた居住環境を提供している。

2012/02/16(木)(五十嵐太郎)

カタログ&ブックス│2012年2月

展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。

深読み! 日本写真の超名作100

著者:飯沢耕太郎
発行日:2012年1月11日
発行所:パイ インターナショナル
定価:2,625円(税込)
サイズ:A4判

artscapeレビューの執筆者でもある、写真批評家・飯沢耕太郎の最新著作。1850年から2011年までの、究極の、絶対に見ておきたい写真101点を収録。彼の手で丁寧に選び取られた「日本写真」の超名作と、それぞれに付された「深読み」が、150年にわたる壮大な写真史の広がりを浮かび上がらせる。



MP1 artist's book Expanded Retina│拡張される網膜

編集:MP1
発行日:2012年1月21日
発行所:BAMBA BOOKS
価格:1,500円(限定500部)
サイズ:A4判

写真を主とした制作活動を行う美術家エグチマサル・藤本涼・横田大輔・吉田和生と、批評家・星野太(表象文化論)によるプロジェクト「MP1」初のアーティストブック。2012年1月21日よりG/P gallery(恵比寿)にて開催された同名の展覧会に合わせての出版された。MP1メンバーと飯沢耕太郎(写真評論家)・後藤繁雄(編集者)・粟田大輔(美術批評)・天野太郎(横浜美術館主席学芸員)との対談、伊藤俊治トークショー等を収録。




地域社会圏主義

著者:山本理顕、上野千鶴子、金子勝、平山洋介、仲俊治+末光弘和+Y-GSA、松行輝昌
発行日:2012年1月10日
発行所:INAX出版
定価:2,415円(税込)
サイズ:182mm×240mm 並製 152頁

高齢者や一人世帯がさらに増えていくすぐそこの未来、私たちは自身の生活とそれを受け止める器である住宅をどのようにイメージし、また獲得していくことができるのか。2010年春に刊行され、話題をよんだ『地域社会圏モデル』から大きく一歩踏み込んで、2015年のリアルな居住像を提案する。上野千鶴子(社会学)、金子勝(経済学)、平山洋介(建築学)との対談も収録。[INAX出版サイトより]


富士幻景──近代日本と富士の病

著者:小原真史
刊行日:2011年12月30日
発行所:IZU PHOTO MUSEUM
価格:3,780円(税込)
サイズ:B5判変、244頁

古来から日本人の崇敬を集めた富士山が、幕末以降の近代化と対外戦争のプロセスの中で国家の山へと変容していく様子を写真や印刷物340点から辿る。IZU PHOTO MUSEUMで2011年に開催された「富士幻景──富士にみる日本人の肖像」展関連書籍。


あなたとわたし わたしとあなた──知的障害者からのメッセージ

文:谷口奈保子
写真:寺澤太郎
発行日:2012年1月23日
発行:小学館
価格:1,470円(税込)
頁数数:63頁

みんな、生きているんだ。──東京・恵比寿で約30年間、知的障害者の生活支援を続けている特定非営利活動法人ぱれっと。そこで、働き、くらし、遊ぶ、知的障害者の人たち。それぞれが人として一生懸命生きている姿を、60点を超える写真から感じ取っていただけたら。そして、障害のあるなしではなく、全ての人があたり前に生きていける社会を考えるための写真絵本です。[小学館サイトより]

2012/02/15(水)(artscape編集部)

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猪苗代町立猪苗代小学校

猪苗代町立猪苗代小学校[福島県]

青島裕之が設計した猪苗代町立猪苗代小学校を見学した。南面教室と北側廊下という通常のセオリーとは逆に、南側にオープンスペース、安定した光の注ぐ北側に教室を配置した意欲作である。トップライトや断面の形状を工夫し、北国ならではの採光を巧く処理している。またランチルームとそれに隣接する図書室を全体の中心に置き、共同体の統一感をあらわす。東日本大震災の直後は、地元の住人が一時避難し、公共施設として活躍している。

2012/02/14(火)(五十嵐太郎)

「世界劇場会議国際フォーラム2012 日本に公共劇場はあるか?」Session-4:公共劇場のゆくえ

会期:2012/02/10~2012/02/11

愛知芸術文化センター12F アートスペースA[愛知県]

世界劇場会議は、建築系の劇場関係者が一同に集まるイベントである。劇場建築を専門とする計画学の坂口大洋がコーディネートを担当し、筆者、そしてえずこホールの水戸雅彦、10-BOXの鈴木拓らが、震災後の仙台と公共ホールについて、それぞれの報告と討議を行なう。東日本大震災では、建物の倒壊は免れたが、各地のホールで天井が落ちて使えなくなるなど、関係者に大きな衝撃を与えたようだ。また被災地では、多くの公演がとり止めとなり、「文化被災」というべき状況がもたらされた。

2012/02/11(土)(五十嵐太郎)