artscapeレビュー
きょう・せい
2010年05月15日号
会期:2010/04/02~2010/04/25
京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA[京都府]
京都市立芸術大学のギャラリーが新たにオープンした。2期にわたって開催される企画展のタイトルは「きょう・せい」。第一期の今展は、どの作品が誰の、という個々の展示ではなく、共同して作品制作、展示を行なうというもので、言ってみればごちゃまぜの作品で構成された会場になっていた。それなりに賑やかな面白さもある反面、作品によっては、むしろ各々の魅力が削がれてしまっている印象や作家たちの意識の温度差が目につくものもあり、少し残念な気もした。ただ、会場の順路には、京都市立銅駝美術工芸高等学校の卒業生の作品を展示した同時開催展の展示室もあり、それがとても良い。ここに伝統を受け継ぐとともに新しい表現者たちを育んできた京都の芸術環境の歴史や、その京都らしいあり方が示されている。個人的には「きょう・せい」という今展のタイトルは館自体の名称にしたら良かったのにと思うが、ともあれ、今後の活動に期待している。
2010/04/16(金)(酒井千穂)