artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
群馬の美術 1941-2009

会期:2009/09/19~2009/11/15
群馬県立近代美術館[群馬県]
戦後の群馬の美術の歩みを振り返る展覧会。戦前の1941年に結成された群馬美術協会にはじまり、県美術展の制度化、60年代半ばに「群馬アンデパンダン展」を開催していたNOMOグループ、74年に開館した群馬県立近代美術館など歴史的な時間軸を中心にしながら、日本画・洋画・立体・工芸・インスタレーションなど、さまざまな表現形式による作品160点あまりが展示されている。いわゆる団体展系の作品が多いことはたしかだが、それにしても福沢一郎や山口薫、鶴岡政男など、群馬に縁のある絵描きが多いことに驚かされる。なかでもひときわ際立っていたのが、おそらく出品作家のなかでもっとも若い、八木隆行の《B2プロジェクト 足尾》。小さな湯船を背負って山奥まで歩いていき、そこでお湯を沸かしてビールを呑みながら屋外での即席入浴を楽しむというプロジェクトだ。地形図に記された八木の足跡はストイックな求道者を連想させるが、じっさいの光景を写した写真を見ると、じつにのどかで楽しそうである。地方における美術の制作活動がますます困難を向かえている昨今、八木のプロジェクトは「地方でもひとりでも十分にやっていける」というたくましさを高らかにアピールしていたように見えた。
2009/11/10(福住廉)
Exhibition as media 2009『drowning room』

会期:2009/10/31~2009/11/23
神戸アートビレッジセンター[兵庫県]
大﨑のぶゆき、田中朝子、冨倉崇嗣、中川トラヲ、森本絵利によるグループ展。ギャラリーの他、シアター、スタジオ、パブリックスペース、階段、トイレなど、建物を縦横に駆使することで、各作家のパフォーマンスが十二分に発揮された。ギャラリーを応接間に見立てた演出や、展覧会に至るプロセスをドキュメント仕立てで公開したコーナーも斬新だった。アーティスト・イニシアティブの良い面が発揮された訳だが、彼らを支えたキュレーターにも拍手を送りたい。ちなみにタイトルの『drowning room』とは、今回のアーティストに共通する傾向「drown(溺れる、夢中にさせる)」と、「draw(描く)」、そして「drawing room(応接間)」をかけて作られた造語である。
2009/11/1(小吹隆文)
drawning room

会期:2009/10/31~2009/11/23
神戸アートビレッジセンター[兵庫県]
2007年から開催されているアートイニシアティヴ・プロジェクトで、企画立案から実施までをセンターとアーティストが共同で行なう展覧会。今回の出品作家は、大﨑のぶゆき、田中朝子、冨倉崇嗣、中川トラヲ、森本絵利。「drawning room(溺れる部屋)」というタイトルが、溶解や消滅という脆弱な要素をもつ、今回の参加アーティストそれぞれの作品イメージとすんなり結びつくところもさることながら、実際、応接間のように構成された会場にぎっしりと作品が展示され、各々の空想的で儚げな世界観を楽しむ心地よい空間となっていたのがまた良かった。この日は芸術学者の布施英利氏を迎えてのトークイベントも。展示作品の透明感や脆いイメージとは裏腹に、内容は濃厚で充実した展覧会。
2009/11/07(土)(酒井千穂)
‘文化’資源としての〈炭鉱〉展

会期:2009/11/04~2009/12/27
目黒区美術館[東京都]
これはまたよく集めたもんだと感心する。炭鉱を描いた風景画だけでも、素人の炭鉱マンの手になる稚拙な絵もあれば、野見山暁治や立石大河亞らプロの画家による油彩画もあるし、山本作兵衛のように坑内の様子を克明に描写した記録画もあれば、「ヤマ」を抽象化した大作もあるし、労働者を強調した社会主義リアリズムもある。そのほか、五木寛之の小説『青春の門』を飾った風間完の挿絵、土門拳の写真集『筑豊のこどもたち』、岡部昌生のフロッタージュ、労働運動のポスター、川俣正のパノラマ的インスタレーションまで、少しは取捨選択しろよといいたくなるほど手当りしだい集めている(ように見える)。が、本当は「たったこれだけ?」というべきかもしれない。炭鉱は日本の近代化を担った基幹産業であり、半世紀以上にわたり何十万もの人々が関わってきた一大社会だっだったはず。そんな炭鉱に関係する美術作品が、ギューギューづめとはいえ小さめの美術館にすっぽり収まってしまうのだから、少なすぎるというべきだろう。一見、量で勝負しているように見えるこの展覧会、じつは量の少なさによって「炭鉱をめぐる美術」の危機を訴えているのかもしれない。
2009/11/06(金)(村田真)
トーマス・ルフ「cassini+zycles」

会期:2009/10/16~2009/12/19
ギャラリー小柳[東京都]
衛星や土星の環の画像。NASAがネット上に公開している写真だそうだ。だれが撮ったものだろうが、天体写真はそれだけで美しい。だからズルイって気がする。
2009/11/06(金)(村田真)


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