2021年09月15日号
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artscapeレビュー

‘文化’資源としての〈炭鉱〉展

2009年12月15日号

会期:2009/11/04~2009/12/27

目黒区美術館[東京都]

これはまたよく集めたもんだと感心する。炭鉱を描いた風景画だけでも、素人の炭鉱マンの手になる稚拙な絵もあれば、野見山暁治や立石大河亞らプロの画家による油彩画もあるし、山本作兵衛のように坑内の様子を克明に描写した記録画もあれば、「ヤマ」を抽象化した大作もあるし、労働者を強調した社会主義リアリズムもある。そのほか、五木寛之の小説『青春の門』を飾った風間完の挿絵、土門拳の写真集『筑豊のこどもたち』、岡部昌生のフロッタージュ、労働運動のポスター、川俣正のパノラマ的インスタレーションまで、少しは取捨選択しろよといいたくなるほど手当りしだい集めている(ように見える)。が、本当は「たったこれだけ?」というべきかもしれない。炭鉱は日本の近代化を担った基幹産業であり、半世紀以上にわたり何十万もの人々が関わってきた一大社会だっだったはず。そんな炭鉱に関係する美術作品が、ギューギューづめとはいえ小さめの美術館にすっぽり収まってしまうのだから、少なすぎるというべきだろう。一見、量で勝負しているように見えるこの展覧会、じつは量の少なさによって「炭鉱をめぐる美術」の危機を訴えているのかもしれない。

2009/11/06(金)(村田真)

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