artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
カタログ&ブックス│2013年11月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
フランシス・アリス作品集「Don’t Cross the BridgeBefore You Get to the River 川に着く前に橋を渡るな」
フランシス・アリスの《橋》のプロジェクトから成る手記。移民問題を背景に、想像力をもって二つの大陸に橋を渡す試みを行った《橋》プロジェクト。メキシコ湾での《Bridge/Puente》、そしてアフリカとヨーロッパを隔てるジブラルタル海峡で行った大規模な新作プロジェクト《川に着く前に橋を渡るな》を収載。遠い地の社会的な問題さえ、誰もが共有できるものとして作品に昇華させる卓越した表現には、私たちの生きる社会の寓意が浮かび上がる。最新作品集、日本初刊行。
[青幻舎サイトより]
SOU FUJIMOTO RECENT PROJECT
「武蔵野美術大学 美術館・図書館」の完成から3年。今や国内だけに留まらず、「台湾タワー」や「サーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン2013」の設計者に就任するなど、世界を舞台に活躍し始めた建築家・藤本壮介さんの最新プロジェクト集が遂に登場です。
[GAサイトより]
ラッセンとは何だったのか? 消費とアートを越えた「先」
バブル期以後、イルカやクジラをモチーフにしたリアリスティックな絵で一世を風靡したクリスチャン・ラッセン。その人気とは裏腹に、美術界ではこれまで一度として有効な分析の機会を与えられずに黙殺されてきた。
本書では、ラッセンを日本美術の分断の一つの象徴と捉え、徹底した作品分析と、日本における受容のかたちを明らかにしていく。
ラッセンについて考えることは、日本人とアートとの関係性を見詰め直し、現代美術の課題をあぶり出すことに他ならない。美術批評をはじめ、社会学、都市論、精神分析など多彩なフィールドに立つ論者15名による、初のクリスチャン・ラッセン論。
[フィルムアート社サイトより]
ザ・ネイチャー・オブ・オーダー ─建築の美学と世界の本質─ 生命の現象
アレグザンダーの積年のテーマである「名づけえぬ質=生き生きとしたパタン」からさらに展開し、「生命(Life)」や「全体性(Wholeness)とセンター(Center)」がキーワードとなり、環境の心地よさや美学、保存とその展開への実践が論じられる。図版600点強、490頁(B5判)の圧倒的なボリュームで構成。アレグザンダーの世界観を集大成した一冊。
[鹿島出版会サイトより]
2013/11/15(金)(artscape編集部)
プレビュー:福岡道雄 展 「僕の顔」
会期:2013/11/11~2013/12/07
ギャラリーほそかわ[大阪府]
1960年代以降、戦後の現代彫刻界を代表する作家の一人として旺盛な活動を展開してきた福岡道雄。黒いFRPの立体一面に「何もすることがない」という文字を連ねて彫り刻んだ作品などでも知られているが、2005年、大阪の信濃橋画廊での個展を機に「つくらない彫刻家」を宣言し、以降制作を断っている。本展では福岡の1960~70年代の彫刻とタブロー作品を展示。チラシに「今見れば反骨と焦燥に満ち満ちた1970年代当時の若い彫刻家のエネルギーが溢れんばかり」と記されていたのだが、その実物をぜひ見て感じたい。11月30日(土)にはアーティストトークも開催される予定(定員20名/要予約)。
2013/11/14(木)(酒井千穂)
密る日に 藤本絢子 Exhibition
会期:2013/11/02~2013/11/17
金魚をモチーフにした、赤、黒、白などの斑点が画面いっぱいに広がる絵画作品で知られる藤本絢子。近年の作品は抽象化が一層進み、《天の川シリーズ》と題された作品では、色数の増加とラメ・パウダーの使用もあって、蒔絵のごとき装飾美が感じられる。同時に、現代の女性たちの間で流行するネイルなどのデコ文化とも共通性が感じられ、古典と現代の両方に繋がっているのが興味深い。京都では2年ぶりとなる本展では、学生時代の作品も含む約20点が出品され、彼女の作風の変遷が概観できた。また、花をモチーフにした作品や、百貨店のプロジェクトで制作した浴衣も花を添えていた。
2013/11/12(火)(小吹隆文)
そこに立つ、存在する 楢木野淑子 展
会期:2013/11/11~2013/11/30
ギャラリーwks.[大阪府]
近年の若手陶芸家、特に女性の傾向のひとつに、過剰で細密な装飾性が挙げられる。楢木野もその一端に属する作家である。装飾といってもさまざまだが、彼女の場合はアクセサリーなどでつくった型からパーツをつくり、それらを作品表面に張り込むタイプだ。また半透明の釉薬によるカラフルな彩色も特徴である。この手の作家は、縮み志向に陥る危険があるが、楢木野は今回、その逆を行った。巨大な柱状立体4点を出品したのである。作品表面は太陽や動植物の装飾に溢れ、空間全体が気のようなもので満たされている。彼女が目指したのは、例えば神社の鳥居のように、そこに存在するだけで空間を変容させる作品だ。さらに数を増やして広い空間で展示すれば、一層素晴らしくなるだろう。大作に転じた今回の判断は正しいと思う。
2013/11/11(月)(小吹隆文)
ヨッちゃんビエンナーレ2013
会期:2013/11/10~2013/11/24
大阪造形センターのヨッちゃんビエンナーレ2013を見る。キュレータの加藤義夫さんが企画した二回目にして、おそらく世界で一番小さなビエンナーレである。愛知芸文センターの公募展、アーツチャレンジにも彼が関わっていることから、アーツチャレンジで選ばれた荒木由香里、植松琢磨、福田良亮らが参加している。
2013/11/10(日)(五十嵐太郎)