2018年04月15日号
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artscapeレビュー

LIVING CULTURE─LIXILギャラリーのグラフィック 35年の視点

2016年12月01日号

会期:2016/10/29~2016/11/24

LIXILギャラリー[東京都]

1981年に伊奈ギャラリーとしてオープン(のちにINAXギャラリーに改称)したLIXILギャラリーは、今年開設35周年を迎えた。35年間にギャラリーでは建築やデザイン、現代美術、やきもの作品を紹介する展覧会が開催されてきた。本展は同ギャラリーのこれまでの活動を振り返るもので、ポスター、リーフレット、案内はがき、ブックレットなどのグラフィック約300点が展示された。
1982年から1995年まで、同ギャラリーでは美術評論家、中原佑介が監修者となって多彩な作家による現代美術およびデザインの展覧会が企画された。今回展示されているパンフレット、ニューズレターには、いま活躍している多くのアーティストたちの若かりし頃の姿が掲載されていて、その確かな目に驚かされる。筆者がよく足を運ぶのは現在は大阪と東京で開催されている「建築とデザインとその周辺をめぐる巡回企画展」。美術館や博物館ではなかなか見ることができない独自の視点によって設定されたテーマによる展覧会が年4本開かれている。企業のギャラリーでありながら、本業とは必ずしも関わらないテーマで企画されているところもいい。さらに素晴らしいのは、小さなスペースにおける展示を補って余りある内容のブックレットの刊行だ。豊富な写真や資料、専門家が執筆した論文に加えてテーマに関連する人々に取材したインタビュー記事など硬軟取り混ぜたテキストもまた美術館・博物館の展覧会図録ではなかなか読むことができない内容で、毎回楽しみにしている。ブックレットの代々のアートディレクターには鈴木一誌、勝井三雄、祖父江慎らが名を連ねており、そのエディトリアル・デザインを眺めることも楽しみのひとつだ。旧・伊奈ギャラリーが開設された1981年はまだバブル経済の前、企業メセナブームよりはるか以前のことである。一時のブームや企業の業績に左右されず、これからも地道な文化活動が続いてくことを期待したい。[新川徳彦]

2016/11/10(木)(SYNK)

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