artscapeレビュー

白図 山下裕美子展

2017年03月01日号

会期:2017/02/09~2017/02/26

ぷらすいちアート[大阪府]

山下裕美子の作品を初めて見た人は、それらが紙でできていると思うだろう。まさか陶芸だとは思わないはずだ。彼女の作品はそれほどに薄く、軽く、儚い雰囲気を漂わせている。作品は、和紙や布を貼り重ねて造形し、泥状の土を塗った後、焼成している。焼成段階で紙や布は燃えてしまい、陶土のみが残るのである。展示はライトボックスの上に置かれることが多い。透過光が繊細さを一層強調するのだ。しかし本展では、いくつかの作品を金属板や板の上に設置し、作品の新たな魅力を引き出そうとしていた。また、ひしゃげた箱や何かを包んだ紙など、これまでとは異なるモチーフを採用しているのも大きな特徴だった。作風自体は正常進化だが、いくつかの点で新たなチャレンジがうかがえ、今後の変化に含みを持たせた。本展を位置づけるとこんな感じだろうか。

2017/02/17(金)(小吹隆文)

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