2018年04月15日号
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artscapeレビュー

白石ちえこ写真展「島影 SHIMAKAGE」

2017年04月01日号

会期:2017/03/07~2017/03/19

ギャラリー・ソラリス[大阪府]

日常にある“記憶の原風景”をテーマに制作を続けている写真家、白石ちえこ。本展は彼女が2015年に発表した写真集『島影』から選抜したもので、日本各地の風景をモチーフにした銀塩モノクロプリントである。本作の最大の特徴は「雑巾がけ」という古典技法を用いていることだ。この技法はピクトリアリズム(絵画主義)が盛んだった1920~30年代に日本で開発されたもので、プリントした印画紙にオイルを引き、油絵具を塗るなどして、それらをふき取りながら画面の調子を整える。白石の作品は、風景、建築、遊具、動植物などを捉えているが、一様に暗めのトーンを取っている。それでいて対象の輪郭はつぶれておらず、昼なのか夜なのか、最近なのか一昔前なのか、区別がつかないのだ。観客はその迷宮のような世界で、日常のくびきから解かれた浮遊感を味わうのだ。このような特殊技法の作品は、やはり実物を見るのに限る。その機会を与えてくれた作家と画廊に感謝したい。

2017/03/07(火)(小吹隆文)

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