artscapeレビュー

1980年代再考のためのアーカイバル・プラクティス

2017年04月01日号

会期:2017/02/18~2017/03/05

京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA[京都府]

京都市立芸術大学が所蔵する卒業生の作品から、1980年代のものを選び、当時の印刷物を交えて当時の動向を振り返った。出展作家は、石原友明、上野政彦、長尾浩幸、片野まん、栗本夏樹、砥綿正之など20名である。1980年代の関西は続々と有望な新人が現われ、「関西ニューウェーブ」と呼ばれる活況を呈した。約30年の時を経て、当時を振り返ることは有意義だと思う。ただ、印刷物が貧弱だったのは残念だった。今後の充実が望まれる。本来ならこの手の企画は地元の美術館が担うべきものだ。しかし、景気が冷え込んで美術館の予算が激減した1990年代後半以降、関西では同時代の地元の活動をフォローする企画がやせ細ってしまった。このままだと後世に過去30年間の動向を伝えられないのではなかろうか。京都ではギャラリー16も過去に同画廊で行なわれた個展を再現する企画展を断続的に行なっているが、一大学、一画廊の孤軍奮闘には限界がある。関西、特に京阪神の美術館の奮起を期待している。

2017/02/24(金)(小吹隆文)

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