artscapeレビュー

pippi 個展「paper piecing」

2011年05月15日号

会期:2011/04/20~2011/05/01

Sewing Gallery[大阪府]

草花と木が生い茂る敷地にある古い洋裁学校の校舎にあるギャラリー。はじめに絵や模様を描き、くりぬいた「型紙」でパッチワークをつくることをpaper piecingというのだそうだが、会場には平面作品のほか、キルト用の大きな刺繍枠と布をつなげたものに幾何学的な図形や3人の女の子のイメージを描いた、一連のつながりを想像させる作品が展示されていた。なかでもとても気に入ったのが《阿字子は毎日本を読む》という絵画。野溝七生子の『山梔(くちなし)』という小説に登場する少女がモチーフになっているそうなのだが、偶然にも会場の外にもクチナシの木があって驚いたというエピソードも聞いたせいかよけいに印象に残った。まるで絵本にでも登場しそうなその個性的な空間の雰囲気にもよく似合っていた。


paper piecing展、会場風景

20011/04/29(金)(酒井千穂)

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