artscapeレビュー
「20世紀日本建築・美術の名品はどこにある?」第19回アート・スタディーズ
2011年05月15日号
会期:2011/04/04
INAX:GINZA 8階セミナールーム[東京都]
アート・スタディーズとは、彦坂尚嘉の声がけにより、2004年にスタートし、建築と美術の20世紀を振り返るべく、5年ごとに区切り、全20回が企画された連続シンポジウムである。本当に完結するのかと思われていたが、いよいよ第19回を迎え、ついに8年目に突入した。とりあげる時代は、1975年~1984年。美術は「前衛の終焉から保守への回帰」、建築は「都市住宅の時代」をテーマとし、編集者の植田実と安藤忠雄事務所出身の建築家、新堀学が住吉の長屋について語る。植田は、当時の建築家の住宅作品が理念的かつ自閉的になったことを指摘し、新堀はヴォイドのデザインの系譜から位置づけた。筆者は、住吉の長屋を見学した経験をもつが、想像以上に小さい空間であり、理念的な幾何学形態ながら、身体に親密なスケール感をもっていることに驚かされた。
2011/04/04(月)(五十嵐太郎)