artscapeレビュー
手塚治虫のブッダ展
2011年05月15日号
会期:2011/04/26~2011/06/26
東京国立博物館[東京都]
サブタイトルに「仏像と漫画でたどる釈迦の生涯」とあるように、おもに東博コレクションの仏教彫刻と手塚治虫の漫画「ブッダ」の原画を交互に並べ、おシャカさまの生涯をたどる展示。なんか先月まで開かれていた平山郁夫の「仏教伝来展」でも見たような仏像があるぞう。使いまわしか。それにしても東博が仏像と漫画を並べて展示するなんて、30年ほど前のカビの生えたような陳列品やお役所的な職員の態度を知る者にとっては、ずいぶん軟らかくなったもんだと感慨もひとしお。ひとつだけ難を申せば、いったい仏像を見せたいのか手塚漫画を見せたいのか、それとも釈迦の生涯を知ってほしいのか、ビミョーに焦点が合わないこと。もちろんそのすべてを紹介したいのだろうけど、手塚漫画を読んでると仏像がその参考資料にしか見えないし、仏像を見てると手塚漫画がその解説に思えてきて、いったいどっちに肩入れしたらいいのか悩んでしまうのだ。これはひょっとして、ぼくにとって漫画も仏像も(ついでに釈迦も)ほぼ等距離にあり、いずれにも特別な思い入れがないからなのかもしれない。
2011/04/25(月)(村田真)