artscapeレビュー
トーキョー・ストーリー2010
2011年05月15日号
会期:2011/04/28~2011/06/26
トーキョーワンダーサイト渋谷[東京都]
TWSのクリエーター・イン・レジデンスに招聘されたり海外に派遣されたりしたアーティストの活動を、渋谷、本郷、青山の3カ所で紹介している。渋谷では下道基行とカールステン・ニコライの作品が秀逸。下道は、古本のシュリーマン『古代への情熱』と手塚治虫『ブラックジャック2』を合本させたり、夏目漱石や宮沢賢治らの文庫本の巻末にある略歴を継ぎはぎして『略歴集』を編んだりして、それを人から人へと手渡していく《旅をする本》と、アジア、ヨーロッパ、日本の各都市の屋外にある椅子を撮り集めた《そといす》というふたつのシリーズを出している。各地を旅するなかから編み出されたアートですね。カールステン・ニコライは、おっさんが飲料水の自販機にコインを入れると自販機が光を点滅させながらリズミカルな音を奏で、最後にボトルが出てくるというビデオを制作。おっさんが見た一瞬の夢みたいなファンタジックな映像だ。ヨーロッパには自販機は少ないから珍しいのかも。
2011/04/30(土)(村田真)