artscapeレビュー
第2回 KYOTOGRAPHIE 国際写真フェスティバル
2014年05月01日号
会期:2014/04/19~2014/05/11
京都文化博物館別館、京都駅ビル7階東広場、龍谷大学大宮学舎本館、ASPHODEL、誉田屋源兵衛 黒蔵、虎屋京都ギャラリー、無名舎、下鴨神社細殿、嶋臺ギャラリー、有斐斎 弘道館、アンスティチュ・フランセ関西、京都芸術センター、無鄰菴、村上重ビル、鍵善寮[京都府]
京都市内の歴史ある町家や近代洋風建築、神社、現代建築などを舞台に行なわれている大規模写真展。2回目の今年は、15カ所を会場に9カ国のアーティストが参加した。今年のテーマは「Our Environments 私たちを取り巻く環境」で、天体、動物、自然環境、都市、原発、ファッション、1950年代の日本、1960年代以降の日本の写真集などバラエティーに富む作品が展示されている。本展の魅力は作品と会場に大別されるが、作品では、高谷史郎がNASA撮影の火星の地表画像をもとにつくり上げた巨大映像、西野壮平が数千から数万のベタ焼き写真をコラージュしてつくり上げた世界9都市の鳥瞰図、ティム・フラックによる動物たちの肖像写真、広川泰士が1991~93年に制作した日本各地の原発を撮影したシリーズなどが、会場では、普段は入れない龍谷大学大宮学舎本館、下鴨神社細殿や、京町家(商家)の無名舎、誉田屋源兵衛などが印象的だった。市内を巡り、良質な写真作品を堪能しながら京都の建築遺産も味わえるのがKYOTOGRAPHIEの魅力だが、主催者の意図は十分に達せられていたと思う。また、昨年の第1回に比べて広報展開が充実していたのも特筆に値する。主催者(日仏混成チーム)の手腕は評価されるべきであろう。なお、KYOTOGRAPHIEの会期中にサテライトイベント「KG+」も同時開催中。両方を合わせると市内60カ所以上で写真展が行なわれている。
2014/04/18(金)(小吹隆文)