artscapeレビュー
ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション
2014年05月15日号
会期:2014/04/04~2014/05/25
Bunkamuraザ・ミュージアム[東京都]
19世紀ミラノの貴族ポルディ・ペッツォーリの集めた絵画、武具、タペストリー、時計、ガラス器などのコレクションを公開。こういう貴族のコレクションを邸宅ごと公開しているところでは、やっぱり壮麗な室内空間のなかに置かれた作品をその場で見るから価値も倍増するんであって、作品だけ持ってきて見せられても身ぐるみはがされたみたいでちょっと貧相に映ってしまう。ともあれ、絵画は14世紀の祭壇画から、マンテーニャ、ポッライウォーロ、ボッティチェッリなどルネサンスのイタリア絵画が中心だが、最後のほうにフォンタネージの風景画があって不思議な感じがした。いうまでもなくフォンタネージは、明治初期に日本最初の美術学校である工部美術学校で2年間教鞭をとった画家。つまりわれわれから見れば横のつながりの人なので、こうして西洋(イタリア)美術史という縦の流れのなかに組み込まれると、外国の街で唐突に日本人と出くわしたときのように、「やあこんなところで」と親しみを覚えると同時に居心地の悪さも感じるのだ。
2014/04/03(木)(村田真)